『<新版>日本語の作文技術』感想2 一理ある、一リアル

理屈の道理が通っているのと、正しいと思われるのとはまた別ですからね。

位置: 1,589
言語を非常に大ざっぱに分類するとき、コトバとコトバとの関係を示す方法によって、フランス語やイギリス語のように単語が形を変える方法によるものを屈折語、中国語やベトナム語のように単語を並べる順序によるものを孤立語、日本語や朝鮮語のように助詞と助動詞などを使う手段によるものを 膠着語と呼んでいる。

どうでもいいけど、どれも何だかネガティブな単語ですなぁ。屈折・孤立・膠着ってね。

位置: 1,596
したがってこれを作文技術の上でとくに重視せざるをえないのも当然である。日本語を正確に使いこなせるかどうかは、助詞を使いこなせるかどうかにかかっているといっても過言ではないだろう。

助詞は難しいよ。正確な日本語なんて、そもそも、目指す必要のある人がどれだけいるかしら。

位置: 1,601
私たちもそうだったが、今の中学生たちも学校で日本語の文法を教えられるとき、もはや文法は確立したもの、がっちり完成された論理として習う。この方面にとくに関心のある人や学者は別として、一般の大部分のおとなもそう思っているだろう。
だが実は、これは全くの神話であり、幻想なのだ。日本語の文法は、極論すればどれもこれも仮説の域を出ないとさえいえよう。

これは本当にそう。しかし一方で、「正しいと思われる」方向はありますね。NHKのアナウンサーがしゃべる言葉とかなのかな。

位置: 1,632
その結果到達した一つが「主語廃止論」である。三上氏の文法論は、もちろん完全無欠の域に達したわけではないが、日本語というものの基本的性質を知る上で、たいへん重要な指摘をしたことは否定できない。三上氏によれば、このような「当たり前すぎる」指摘が日本文法界の根幹をゆるがしたのは、これまでの日本文法が西欧文法の直輸入から脱却できていなかったからだ。

ご説ごもっとも。主語なんてものはない、主格があるだけだ、ってね。「小さな子供の学校がある」は2つの意味にとれる、とのご指摘もそのとおり。

位置: 1,654
日本語について言えば、文の基本的要素は述語であって、主語は目的語・補語などと同じ資格であり、一種の修飾語と考えることができる。つまり、日本語では、述語が文の中核で、他の要素はすべて、述部という構造に包含される。(樋口時弘ほか『言語学入門』 98 ~ 99 ページ)

日本語は述語のみが中核である、という主語否定論。省略される主語に対する手痛い一撃ですね。

位置: 1,686
にもかかわらず、なぜイギリス語を日本語の比較対象に選ぶか。第一にその最大の理由は、日本語文法が西欧語文法に暴行されて出発したという近代の背景があるからである。

この人は本当に被害者意識から抜け出せない人ですね。

位置: 1,694
The man gave the boy the money.
これを日本語に訳すとき、これまでの翻訳の常識では「オトナガ子供ニ銭ヲ与エタ」であった。そして、これが問題なのだが、「オトナガ」を「主語」と規定したのである。しかし、これを「子供ニオトナガ銭ヲ与エタ」としても、日本語ではちっともかまわない。あるいは「オトナガ銭ヲ子供ニ与エタ」でもよろしい。要するに(図を省略)関係 が日本語なのだ。つまり「オトナ」「子供」「銭」の三者は、「与エタ」という述語に対して平等の関係にある。言いかえれば、この文章は「与エタ」という述語をめぐる三者の関係を示しているのであって、「オトナ」だけとびぬけて重要な「主語」ではありえない。

述語以外に中核はない、という言語。確かにそのとおりですよ。納得。

位置: 1,707
気象や時間の文章で it などという形式上の主語を置くのも、全く主語の不必要な文章に対して強引に主語をひねり出さねばならぬ不合理な文法の言葉がもたらした苦肉の策にほかならない。「形式上の it」はイギリス語があげている悲鳴なのだ。フランス語の主語 il やドイツ語の es も同様である。あえて皮肉をいえば、人類の選択しうるさまざまな言語方式の中から、ああいうシンタックスを選んでしまった民族の帳尻あわせでもあろう。

とにかく恨み節。そんなに許せないですかね。過去のことだし、何だったら多様性に気付けるわけだし、いいじゃないですか、もう。民族とか言い出すからことが難しくなるので、「文法からまるで違う言語」ってだけでいいんですよ。本当にこの手のおじさんは興奮すると手がつけられない。プライド高いからなぁ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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