基本的に彼の作品はエッセイくらいしか読まないんですよ。
吉行淳之介、安岡章太郎、丸谷才一──、日本の六人の代表的な作家の小説を、村上春樹が縦横無尽に読み解く。目を洗われる文学論
amazonでは堂々と“文学論”と言われてますが、本人は冒頭の39ページあたりで
これは文学評論ではありません。(中略)手前勝手な『私的な読書案内』みたいなものになるのではないかと思います
と述べてます。
村上春樹さんの著作は、物語は正直どれも好きになれず、また、彼が好きだと公言しているチャンドラーやサリンジャーもあまり好きになれず。
結局、村上春樹さん的な感性が自分にはわからないんですね。ちょっと残念なところ。
ただ、例外的に、彼のエッセイは割と好きです。朝日堂とか、ランゲルハンス島とかね。懐かしいなぁ。
この作品は、村上春樹さんがアメリカのプリンストン大学とタフツ大学で行った講義を文字化したものだそうです。アメリカの大学ですけれど、何語で喋ったんでしょうか。
吉行淳之介や小島信夫、庄野潤三ら。いわゆる第三の新人(1953年から数年にかけて登場した私小説的な作家たちのこと。定義はあいまい)を語ったものだそうな。作家を世代に分けてくくって語るなんて、なんて強引なんでしょ。
遠藤周作さんなんて、キリスト教的な文学がほとんどなのにね。しかし、彼の小説は非キリスト教徒にも面白く読めるところが凄い。
とまれ、この本にはそんなことは全然関係なく、村上春樹さんが好きな短編小説を案内しているだけでした。しかし、作家による作品案内は、やはり面白い。クリエーターによる作品解説というのは批評家のそれとはまた違った愛を感じる時があって良いですな。
特に好きだったのは、安岡章太郎さんの『ガラスの靴』の解説。
作家・安岡章太郎の原型をこの作品の中に見出した根拠の解説なんかは、なかなか読んでいて唸りましたね。
2023年10月26日追記
位置: 2,459
いずれの場合も、僕が主催者として参加者(学生)に要求したことが三つある。ひとつは何度も何度もテキストを読むこと。細部まで暗記するくらいに読み込むこと。もうひとつはそのテキストを好きになろうと精いっぱい努力すること(つまり冷笑的にならないように努めること)。最後に、本を読みながら頭に浮かんだ疑問点を、どんなに些細なこと、つまらないことでもいいから(むしろ些細なこと、つまらないことの方が望ましい)、こまめにリストアップしていくこと。そしてみんなの前でそれを口に出すのを恥ずかしがらないこと、である。この三つは、真剣に本を読み込むにあたって、僕自身が常日頃心がけているポイントでもある。
大切なポイントだよね。村上春樹のこういうところは信頼している。
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