『逢沢りく』 いびつな豆腐のような心理描写にヤラれた

第19回手塚治虫文化賞、ということで。

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『猫村さん』のほしよりこさんが著者。
存在は知っていましたが、まさかこんな繊細な漫画を書かれる方だとは。
素晴らしい出来でした。

手塚治虫文化賞の面白さ

たしかコレの新生賞で『難波鉦異本』を知ったりしたような。
毎年発表を楽しみにしています。これを受賞されるような作品はひと通り読んでおいて間違いないかと思われる、しっかりした選定員さんがいらっしゃるであろう賞ですな。

逢沢りくも素晴らしかった

これほどまでに思春期の子供の精神に寄り添った作品は稀ですな。
色々群像劇とか何とか世にあふれていますが、こういった腐った豆腐のようなぷるんとしてドロっとした状態の心の姿がしっかりと作品として昇華されていることがまず凄いと思います。

なんやかんやと世の中の真実を悟ってしまう、ある程度の聡明さを持つ少年少女にありがちな世界観。それを丁寧に、間接的に描き切っているところが凄すぎ。

いちいち突っかかってくる

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キャラクターのセリフが、どことはなしに心に爪痕を残すんです。
「キャリアは中断されたけど、パパ意外にもっていう選択肢のめんどくささからも開放されて良かった」
とか、あまりにムラッ気のある真実を生きたまま原稿に貼られたような気持ちよさと悪さがグチャグチャで目も当てられないけど先を読みたい。

んー、名作っすね。

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