『虐殺器官』 伊藤計劃著 虚淵と並ぶ圧倒的な才能を感じる

にわかに再燃してきました

ノイタミナで映画化されることが決まっている、この『虐殺器官』。
周りでも結構、にわかに人気が再燃しているのを感じます。

著者は夭折の天才、伊藤計劃氏。
彼のmixi日記とかが話題になったころに、あたくしも彼を知りました。
知ってまもなく死去。
あたくしは偉大さに気づく前にはこの世にいらっしゃいませんでした。

今、改めて読むと、圧倒的な文才に驚愕します。
この虐殺器官だって、構想を別にして、執筆開始から10日で書き上げたってんですからね。
その表現力、構成力はもちろん、その生産力においても超一級品の作家でいらしたんですな。

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タイトルの付け方からハイセンス

『虐殺器官』というタイトル、何気ないようでいて、最後に膝を打つハメになります。
最初は何気なく見ていたものが、最後になってピタッと来る。シックリくる。
素晴らしいセンスですな。

最初は何気ない一介の兵士の話が、どんどんことが大きくなり、私情が挟まり、私情で動くようになる。
そしてそれが世界を巻き込む。
風呂敷の広げ方、たたみ方、どれも大変に好み。
たたみ方についてはやや乱暴ではありますが、それもまた、今まで引っ張ってきた物語の遠心力でアリに思えるほど。

ともすればセカイ系の話ともとれなくもない筋ですが、圧倒的な重力と知識量で脳みそが圧死させられ、そんな風には到底思えないような状況になっていて、それに気づく頃には全身が震え立つほどの共振を覚えているという。恐ろしい力。

彼自身にも興味がわく

解説の項で、伊藤さん自身について色々と語られていましたね。
あれを読むとどうしても彼に興味がわきます。

夭折の天才ってどうしてこう、興味の対象になるのかしら。
自分が夭折でも天才でもなく、また、そうありたかったからかしら。
どちらも持っていない人間の、ないものねだりですかね。

そのうちまた読んで、また適当な感想を書きます。

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