『銭形平次捕物控 詰め合わせ』 後半の随筆が興味深い

旧仮名使いが難しいですが。

[amazonjs asin=”B00ILQRLK2″ locale=”JP” title=”銭形平次捕物控 詰め合わせ”]

神田明神下に住む岡っ引の平次(通称 銭形平次)が、子分の八五郎(通称:ガラッ八)と共に卓越した推理力と寛永通宝による「投げ銭」を駆使し、事件を鮮やかに解決していく。岡本綺堂『半七捕物帳』と共に最も有名な捕物帳であり、代表的な時代劇作品の一つでもある。

捕物帳。
江戸が舞台のミステリ?サスペンス?警察?
ジャンルが難しいですけど、捕物帳というジャンルですかね。

話は面白いんです。労せずとも読める。
けれど、読むのが難しい。旧仮名使いは慣れないと、ちょっとね。
森鴎外ほどじゃないけど、なかなか趣味で読むには厳しいかしら。

ただ、後半に掲載されている随筆は随分と面白い。
この野村胡堂氏というのは戦前からの大文化人だったそうで、随筆もかなり読み応えがあります。

浮世絵の収集から寄席演芸の話から、興味はつきません。
そうそう、漱石先生についての、実際にあった人としての随筆が残っていました。

黒く、つやつやした髪をキチンと分けて、鼻下の短く刈りこんだヒゲが、わずかに胡麻塩になっていた。江戸ッ子らしい機才と、西欧流のユーモアと、それに深い学殖とが、三位一体となっていて、ちょっと形容の出来ない複雑な風格である。 「健康は、もう、すっかりいいのですか」  と、きいてみたら、 「デリケートな時計のぜんまいみたいなもので、こう見えても、すぐ狂います」  ちょっとした一言にも、打てば打ちかえす機鋒が現れる。それから、文芸の話になって 「近ごろ、急にはやりはじめたアナトール・フランスやオスカー・ワイルドは、むろん結構なものではあるが、あちらで、新しく全集が出来て、出版元の商略から、外国雑誌に紹介記事が氾濫した。日本人は、それを真に受けたのですね。日本自身の出版界も、やがて、そんな時代になるかも知れませんよ」
at location 26287

素晴らしいエピソード。こんな随筆、読めただけでありがたい。
電子書籍って素晴らしいですな。

The following two tabs change content below.
都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする