『ボーイミーツガールの極端なもの』の文章が素敵

あたくしの恋愛偏差値では解けない物語。

恋愛未経験のおばあさんが喫茶店の店主に出会い、管理栄養士を目指す大学生は野球選手との結婚に憧れ、子育てを終えた中年の女性がファッションデザイナーと巡り合う。引きこもりニートは松田聖子に恋慕し、その弟は誰に対しても自分から「さようなら」を切り出せず、兄弟の父親は妻と再会する。人と接するのが苦手な少女は思いがけず人気アイドルになって、アイドルの付き人は嫉妬に苦しみ、三流俳優は枕を濡らす。植物屋の店主は今日も時間を忘れてサボテン愛に耽る。年齢も性別も境遇も異なる男女が出会い、恋をし、時には別れを経験する。「絶対的な恋なんてない」不格好でも歪でもいい、人それぞれの恋愛の方法を肯定する連作小説集。人気多肉植物店・叢-Qusamura-の店主・小田康平が植物監修を務める。

ナオコーラさんを以前『ご本だしときますね』で見かけて以来気になっていたところ、Kindleで安くなっていたので思わず購入。
文章がとても繊細で綺麗。女性らしいというと角が立つかしら。でも、きめ細やかで叙情的。ただ、物語はさっぱりピンと来ませんでした。あたくしの恋愛偏差値不足でしょう。

位置: 835
あんなに格好いい人がずっと独身だった謎が解けた。恋愛体質だからだ。数人の恋人が常にいて選びきれなかったのか、あるいは浮気がばれると駄目になってしまう恋人関係ばかりだったのか、はっきりとはわからないが、自分ではどうしようもない生来の性質によって、恋愛に翻弄されてきたのが村山ムラサキという男なのだろう。竜子は得心がいき、自分を置いて浮気相手のもとへ行く村山ムラサキにより深い人間性を見出し、こちらもどんどん愛情が深まっていった。

位置: 841
男のことは、ひとり占めできなくて、全く構わない。ただ、自分のこの胸の高鳴りが、できるだけ長く続くことを竜子は願っている。棺桶に入るときまで、自分の体が痺れていたら、どんなに良いだろうか。

パートナーへの独占欲は、あたくしもだいぶ無くなったな。嫉妬はみっともないので止めようとは、思っていますし。なるほど、歳を取るというのは、そういう風に「切り捨てられる」感情が増えるということでもある。

位置: 934
アイドルデビューは「早ければ早いほど良いんじゃないか」「一番可愛らしい時期に人前に出た方が良いんじゃないか」とつい思ってしまうわけだが、気持ちが成熟していない段階で人前に出れば潰れてしまうこともあるし、頑張りが続かないことだってある。松田聖子は、完璧なタイミングで世に出たのだ。

松田聖子論、あまり聞いたこと無いので読んでいて楽しかった。それくらい別格だったわけだ。奇跡のアイドルなわけですね。

位置: 1,333
「辞書を引いてごらん。『恋とは、異性を独占したい気持ち』って載ってるよ」  俯いたまま、中原は言った。 「だから、辞書なんて、他の人が書いたものじゃない。自分たちの感覚で喋ろうよ」  入鹿が言うと、中原はしばらく黙ったあと、くっと顔をあげて、落ち着いて話し始めた。

笑っちゃうよね。「自分たちの感覚で喋ろう」なんて科白。どことなくメルヘン。こういうのが、あたくしは、好きだなー。

位置: 1,634
若い頃に、愛国心について考えたことがあった。愛しているからといって、他の国よりも秀でる必要はない。プライドのために戦争をしたりスポーツをしたりするのはばからしい、と思った。  息子たちに対して感じたことと同じだ。他の子に勝つような子だから愛していたわけではない。
お互いが生きているだけで、いや、どちらかが死んだって、愛していける。高め合うためでなく、祈るために関係を築く。

ポエミーやなー。叙情的。高め合うではなく祈るため。なるほど、ポエミー。

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