侮れない『食べ物の発明発見物語』

夢中で読みました。面白かった。

人類と食べ物の歴史。食べたり寝たりしない人間はいないわけで、ということは食べることは人類の歴史そのものなんですよ。それを子どもにもわかりやすく解説されていて面白かった。

著者の遠藤一夫さんという方は北海道大学の名誉教授なんだとか。Wikipediaによるとですが。すごい人。
頭いい人は文章も平易ですね。身に沁みます。

p24
こうして、人類は野生食物を栽培化し、野生動物を家畜化するという、二大技術を成し遂げた。「電気技術」よりも「原子力技術」よりも偉大な「人類最大の技術」といってよい。

あたくしも電気が人類最大の発見だと思っていましたが、違ったんですね。確かに食物の栽培化は大切オブ大切。稲作ができて縄文人は定住をはじめた、と習いましたがやっぱり間違いですね。定住化は稲作とは関係なさそう。

 鳥浜の縄文人や原始時代の人びとは、食べることに追われて終日働いていたのだろうか。
ブッシュマンと同じアフリカ奥地のハドザ族が、年間を通して、食物を得るために働く時間は、 一日二時間以下であるという。そのほかの、今日でも残っている採集・狩猟民は、みんな一日一人 あたり、平均三、四時間働けば十分な食福が得られるという。たぶん鳥浜の縄文人たちも、一日数 時間働くだけで食べていけたのだろう。
 このことから考えると、人間は飢えをふせぐために農業を始めたのではないように思う。食べものが得られない土地に住んで、やむをえず農業を始めたのではないのだ。

そもそも人間はそこまで働けない、というのはあたくしも日々実感しているところであります。半日働くのがせいぜいでしょう。毎日遅くまではやってられません。

 弥生時代前期の遺跡から、半月形の「石ぼうちょう」が出てくることがある。これは、おもにイネの穂だけをつむのにもちいられたと思われる。そのころのイネは、穂から種子が落ちやすく、一 株ごとに実のなる時期がちがっていたせいであろう。
 なかなか実のならないイネはつまずにのこしておき、ある期間内に育ったものだけを穂づみして、 その種子をつぎの年にまく。そこから育ったイネからおなじことをくりかえす。これをずっとつづけると、イネは種子が落ちにくく、芽を出す時期もそろった品種に改良されてゆく。とくに気づかなくても、長い年月をへて、この品種改良が行われていったのであろう。

これもそうだ。種子が落ちやすいほうが種の保存には理にかなっている。けれども人間は自然の淘汰を妨げ、おのれの都合の良い種を残した。なるほど、理屈だわ。

 特異動的作用がつづく時間、つまり、体が暖まっている時間は、そのときの食べものの性質によ ってちがってくる。
ごはんを主食とするでん粉質や脂肪が多い食べものをとった場合には二時間から三時間、たん白 質が多い食べものでは、食後六時間も七時間も体が暖まっている。質のよいたん白質が多い食べも のは肉なので、肉を食べると長い時間体が暖まっている。寒い冬に肉を食べることが多いのは、また寒い土地に住む人が肉を多く食べるのは、人間の生理現象にかなっている。

なるほど。寒い日には肉を食う。これはそうなんだな。
あたくしはもっと子供たちに肉を食わせるべきだと常々思っていたのですが、確信しました。肉食わせます。

 1845年、アイルランドにジャガイモの疫病が発生して、翌年もつづき、伝染病もともなって 十万人以上も栄養失調で死んだ。アイルランドの難民はイングランドに流れこみ、イギリスは食糧 危機におそわれた。
 このような飢餓の歴史をへて、イギリスにジャガイモがふきゅうし、また、ジャガイモにかたよ った栽培をしたアイルランド人は、1851年から、凶作の故郷をはなれてアメリカに移住してゆくのである。ドイツでは、皇帝フリードリヒ大王が、1774年、ジャガイモを強制的に食べさせようとした。 国内の食糧を確保するためである。この場合も、1771年から2年つづいた飢饉のあとであった。
 ノルウェーでは、ジャガイモのために、1815年以降、死亡率の大はばな変化がなくなっている。大まかにいえば、ジャガイモのふきゅうと、蒸気機関という新たなエネルギーによる食糧の輸送によって、十九世紀のなかば以降、ヨーロッパから飢餓の亡霊が追い払われたのである。スペインにジャガイモが入ってから、三百年たっていた。

ドイツ料理と言えばじゃがいも、だけどジャガイモは南米原産ですからね。唐辛子だってそう。韓国料理の辛さは唐辛子輸入以前と以降では全然違うはずですもんね。

こういうの、面白いなぁ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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