『ぐるぐる問答』でわかる上田誠氏のバランサー能力

上田さんと森見さんによる四畳半語りは、アニメファンなら必読です。

p176
—-一番好きなキャラクターとかシーンってありますか?

森見 好きというか、小津の暗躍ぶりは本当にすごい。小説でもアニメでも、そんな ことは不可能だろうと思うくらい暗躍してますね。小津って僕の憧れなんですよ。小 津みたいに得体のしれない人間になって、人をおちょくってみたかったです。

あたくしもずいぶん小津には憧れました。今でも憧れが捨てられません。ああいう悪性のエンターテイナーは最高ですよね。ピカレスク・ロマンともちと違う。そして純粋な部分もあるという。最高のギャップ。

p177
森見『四畳半』って小津と「私」が離れがたいっていう話なので。もちろん明石さ んもいますが。『四畳半』で二人がピッタリくっついているので、小津だけ離れさせ るのがどうやっても難しい

上田 バディみたいな感じですもんね。二人で一セットというか。

森見 二人の友情というか、よくわからないモノが『四畳半』のキーワードなので。

そーなんですよね。むしろヒロインは小津なんです。BL的な意味だけでなく、物語として。

p178
上田 原作のテンションと湯浅監督のテンションが違っていて、かなり高めですね。 とにかく情報をたくさん詰めて、それでも『四畳半』になる橋渡しを湯浅監督がきち んとしてくださって。当初、湯浅監督からもらっていたプランでは、四畳半のアパー トと別のアパートが合体して、巨大ロボットになって戦うとかという話も出てました よ。あとは、地下プロレスの話とかもありました。結局、原作を膨らませて妄想の中 で遊ぶ方向になったのでなくなっちゃいましたけど

そんな四畳半も見てみたかったな。地下プロレスとか最高やん。話を聞いていると上田さんのバランサーとしての役割が最高に効いていたことが分かります。脚本家としての力でしょうか。凄まじい仕事をなさっている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする