ライトノベルと侮るなかれ。なかなかに読み応えがあります。
“人格入れ替わり”現象を乗り越え、太一たち文研部員はおだやかな日常を取り戻した。そんなある日の放課後、突如稲葉が太一に襲いかかる! さらに唯が見せた机を叩き割るという過剰な行為。そして太一と伊織には、奇妙な感覚が湧きあがった──体が、勝手に、動きだす? そんな矢先、太一は青木と唯が補導されたと聞かされて……!? 再び現れた<ふうせんかずら>と新たな試練。5人の想いは錯綜し、確かに思えた絆は打ち砕かれる! 愛と青春の五角形【ペンタゴン】コメディ!!
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欲望開放、時間退行、感情伝導、幻影投影、夢中透視……。
なかなか思考実験として素晴らしいです。
- やりたいと強く思ったことに身体が動いてしまったら?
- 5人のうち、複数人の身体が12時から17時まで子どもに戻ってしまったら?
- ふと思ったことが突然伝わってしまったら?
- 目の前の人物を他の誰かに見せてしまう能力があったら?
- 他人の願いを偶然観ることが能力があったら?
このあたりのifと結果がなかなかよくできていて読み応えがあります。
そういう意味じゃ、トリックは満点。
ただ、文章が……
気になるのは文章。
稲葉はとうとうと自分の考えを述べる。よくもそこまで頭が回るものだ。
at location 947稲葉のセリフに、太一が応じる。
at location 952
一つのシーンのなかで、上の地の文が出てきます。
え、モノローグの主語は誰?太一なの?神なの?
こんなことがしばしば。ちょっと視点の転換に甘さがあって、読みづらいことがあります。主語というか物語の視点はブレちゃだめよね。
あと、自分語りと決意語りが長く、読むペースが掴みづらいのも難点。
作家の文章力とは、そのものをモノローグさせずにそれ以上のものを伝えることの出来る力のことですな。
悔しさを「悔しい」と言わすのではなく、決意を「やるぞ」と言わせるのではなく。
それを文章で120%伝える。これが文章力ですね。
ラノベはその辺の信頼関係ができないのかもしれません。
とりあえずまとめ
でも、先が気になる。稲葉可愛い。あと青木可愛い。
太一は……モテすぎて気に障るわ。
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