ついに吉川英治『三国志』に手を出した

いよいよ。満を持して。

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不朽の名作、吉川三国志を一気に読める完全版。日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである(吉川英治歴史時代文庫)。

とにかく長い。恐ろしいくらいKindleの進捗が上がらない。十数ページ読んで、はじめて1%上がる、くらい。
しかし、同時にすごく読みやすい。似たような漢字の人名が延々と出てきますが、これも親切に書かれているのでそれほど苦にならない。新聞小説のいいところですね。

位置: 1,295
桃園の梢の 湖 を、秋の 小禽 が来てさまざまな音いろを 転ばした。陽はうらうらと雲を越えて、朝霧はまだ紫ばんだまま大陸によどんでいた。

綺麗ですよね、表現。「朝霧はまだ紫ばむ」なんて生涯口にしないと思われます。

位置: 1,498
黒漆 の 髯 の中で、 牡丹 のような口を開いて笑った。

黒漆の髭というだけで関羽だと分かりますが、「牡丹のような口」とは恐れ入る。

位置: 1,683
眼は 鳳眼 であり、 耳朶 は豊かで、総じて、体の 巨 きいわりに 肌 目 こまやかで、音声もおっとりしていた。

このリズムね。「○○は□□で、✕✕は△△で」っていう。目にも耳にも馴染む。

位置: 1,912
いる張飛へ、顎を振向けて、 「まず五百か千の人数をそろえてきて、半分以上の 屍 はつくる覚悟がなければからめ捕ることはできまい。諸君は、この 翼 徳 張飛 という人間が、どんな力量の漢か知るまいが、かつて、幽州の 鴻 家 に仕えていた頃、重さ九十 斤、長さ一丈八尺の 蛇 矛 をふるって、 黄 巾 賊 の大軍中へ馳けこみ、 屍山血河 をつくって、半日の合戦に八百八屍の死骸を積み、張飛のことを、八百八屍将軍と 綽名 して、 黄 匪 を戦慄させたという勇名のある漢だ。

小学生で読んだ時は(その時はすぐ挫折した)思わなかったけど、今になって読むと張飛いいよね。関羽や呂布と言っているやつはまだ赤子よ。

位置: 2,050
神のみ 禱 り、神のみ 祀っても、人事を尽さずして、大望の成就はあり得べくもあるまい。

このリズム。吉川節とでも言うか。ほんと良い。

位置: 2,085
兄弟の杯を交わし、そして、三人一体、協力して国家に報じ、下万民の 塗炭 の 苦 を救うをもって、大丈夫の生涯とせんと申し合った。
張飛は、すこし酔うてきたとみえて、声を大にし、杯を高く挙げて、 「ああ、こんな吉日はない。実に愉快だ。再び天にいう。われらここにあるの三名。同年同月同日に生まるるを 希わず、願わくば同年同月同日に死なん」  と、呶鳴った。

有名な桃園の誓いですね。何度も言うけどリズムがすごくいい。
落語『牛ほめ』の「天井は薩摩の鶉目でございます」「左右の壁は砂摺りでございましょう」「畳は備後の五分縁でございますな」「天角地眼鹿頭耳小歯違」に通ずるものがある気がします。

しばらく三国志、書き続けます。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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