かなり危険な食いしん坊です。
不規則な勤務体制の業界においても、緻密な戦略により1日3回、どんな食事でも「一番おいしい食べ方」を見出し、「完食する」。そんなテレビマンが解明した「食の方程式」とは? 「料理の鉄人」など人気番組を手がけてきたディレクターが、放送業界人御用達の人気レストランや定食屋、仕出し弁当、高級ビュッフェを舞台に、あらゆる食事に応用できる「絶対にうまい食べ方」を紹介。西麻布「三河屋」のミックスフライ定食、新橋「豚大学」の豚丼をはじめ、京王プラザホテル「グラスコート」のランチビュッフェ攻略法など、絶対に食べたくなるメニューが次々に登場し、独特のグルメうんちくに笑いながら、グルメガイドとしても楽しめる一冊。
他人の食べ方が気になるんです。
また、自分の食べ方がマンネリに陥っていないかも。
「十人いれば気は十色」などといいますが、その十色がどんな配分なのかが気になるのです。中に一際めだつビビットカラーなんぞありましたら是非見習ったり試したり、したいのです。
そんなことを食の分野で問い詰めた本書。素晴らしいですな。
とんかつの西麻布「三河屋」、魚定食の「たき下」、オムライスの「わか」など、なかなかお店選びも渋め。いいじゃないですか。
一般的にオムライスの卵に包まれたチキンライスには、そのままで十分においしい味付けが施されています。食べ始めは、このチキンライスとフワフワな卵を一緒に食べることで、「オムライスを食べている」という充足感に満たされます。
ところが、この卵が中盤くらいで突然、牙をむき始めるのです。オムライスの単調な味付けに疲れ、「飽きたな……」と思いかけた時。それは卵がチキンライスの塩気とケチャップ味を奪い始めたサインです。
そう、実は卵はおかずではない。自分以外の味付けを必要とする「ご飯」に近い食べ物なのです!
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確かにそういうところはありますな。しかし、付け足すならば、卵は立派なツマミにもなり得るということ。
先日、一人で神保町のランチョンにて夕食をとったとき、あたくしはビールにオムレツをアテましたがこれがなかなか乙でした。白米じゃあ、こうは行かないですね。
「オムライス」は洋食界の花形。洋食店はオムライスに並々ならぬプライドを持っています。そのため、「あるべき姿」を崩してまで、「途中で飽きる」という欠点の対応に、踏み出せずにいるお店も多いはずです。
そんな中「わか」は、「オムライスは途中で飽きる」という欠点を素直に受け入れた。そして試行錯誤と葛藤の末、トッピングという答えにたどりついたのだと思います。
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しかし、熱量たっぷりにメシのことを語るというのはとても食いしん坊で素敵です。いいですね。
一方、苦い経験から導き出された「おいしさの法則」があります。 それは、 「おかずとご飯が出会う時間は、おいしさに比例する」 というものです。
その証拠の一つが、今や外食産業の一大覇権を握っている「焼肉」です。ハンバーグの「切る」という手間を省いている。また、ナイフとフォークではなく箸が公式。箸でひょいっとつまめるので、ご飯とのリズムがとてもいい。
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ハンバーグのご飯の食べ方問題からの、大発見。フォークで米は食いづらい、ってやつね。
また筆者は、口の中に頬張るという食べ方も推奨しています。これは行儀悪ですが、大変に正しい。僕もそう思います。頬張るからこそ美味いものもある。
また、筆者は寿司とカレーライスという永遠の好物にもその評価を惜しみなく与えています。「おかずとご飯が出会う時間がゼロ」ですからね。確かにそうです。ラーメンなんかも、広い意味でそういうことですな。
メシというものをしっかりと自分の言葉で再構築した筆者に感謝。いい本を読ませていただきました。
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