学生時代、あたくしもエジプトの砂漠を自転車で走破した男です。
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インドのカルカッタからポルトガルのロカ岬まで、ユーラシア大陸を単独バイクで横断する――。19歳の”私”は、大学の学費を費やして行ったタイ旅行でどこからともなくそんな啓示を受ける。
すぐに卒業を諦め、3年間に及ぶ準備期間を経ていよいよインドに入国した”私”は、いきなり送ったバイクを受け取れないというハプニングに見舞われる。
こんな調子で、それまで日本ですらまともなツーリングもしたことのなかった”私”が、ポルトガルまで無事に走り続けることができるのだろうか――。期間約1年、5万キロにわたるトラブルまみれの旅が、いま始まる!
その後も一人旅を続けましたが、24のときに誰とも分かち合えない旅に飽きてそれ以来一人旅は引退した…つもりでしたが、この本を読んで再度行きたくなりました。
海外一人バイクツーリング、まさに夢ですよ。これは。一生に一度、行きたい。
気がつくと私は、100Rs(270円)をチップとして彼に渡していた。 これまでチップはおろか乞食にも1パイサすら渡したことはなかったが、何故このジュリアスには100Rsもあげたのだろうか。 ただしこのあとすぐ、私は彼のことを見下してしまったような気がして自らの所業に虫唾が走った。 この先、私は数え切れないほど多くの現地人と様々な国で知り合うことになるが、プレゼントとして見ず知らずの人間に金を与えたのは、あとにも先にもこれ一度きりだった。
at location 340ヒンドゥーの最高神のひとりシヴァはマリファナによって覚醒したとされているので、宗教上切っても切れない関係なのだろう。
at location 379
アジア人はほんとマリファナ好きよね。海外だからって恐ろしくって、あたくしは手が出せませんでした。どうにも、欲望に溺れやすいタイプなもので。
このように午前中をしっかりと働いた私たちは、心地よい汗と共に再びサダルストリートへと戻る。 こうした貴重な経験をしてもなお、私は再びここに来ようとはとても思えなかった。 岡村さんや欧米人たちがどういう思いで連日通っているのかはわからないが、私に感じられたのは、日本人として生まれたことに対する安堵だけだった。 あの状態よりもずっと酷かった当時に彼らを救うため、全財産をなげうって訪印したマザーテレサに対しては、もはや聖人という言葉すら軽すぎるように思えてしまう。 私にできること。それは与えられた「先進国に生まれた人間」という特権を、しっかりと使い切ってやることしかないのではないか。たまたま日本に生まれた私には、こういったインドの貧しい人々が、どんなに頑張っても手に入れることのできない機会を生まれながらにして持っているのだから――。 もっともこんな考えは、連日ボランティアに従事している人たちから見れば、利己主義以外の何ものでもないだろう。
at location 572
流行の言葉を使うなら、ポリティカリー・コレクトではないかもしれない。けれど、非常に人間くさくて共感してしまう。
先進国に産まれた人間という特権、ね。確かにその上に僕ら日本人はいますよ。戦争で負け、冷戦に巻き込まれたお陰で経済発展できてしまった「たまたま」の先進国に「たまたま」産まれてきたという特権の上に、ね。
そういう意識というか感覚は海外旅行をしているとき、あたくしもずっと持っていました。何だか他人に言われてハッとしたというか、みんなそういう感覚はないのかしら。
まず私が知ったのは「カルネ」という書類の存在である。 これは国際自動車連盟が発行している「自動車一時輸入書類」という――言わばバイクのパスポートのようなものだった。
at location 717全てが順調に進んでいたこともあって、この時の私は有頂天になっていた。しかしそんな私を、大学の同期でバイクサークルの部長を務める溝口が諌めてくれた。 計画を当初より知っていた彼の懸念とは、私がバイクのメンテナンスについてほとんど何も知らないという点だった。何しろ未舗装の道路を走ることになるかもしれないというのに、私にはその経験はおろか、パンク修理の知識すらないのである。 私としては、まあその時になれば何とかなるだろう程度に考えていたのだが、溝口はそんな愚か者を諭し、メンテナンスの講習をしてくれただけでなく、パンク修理の実演まで行ってくれた。 旅に出てからの私は、様々な国でいく人ものメカニックに世話になるが、溝口こそがまさにその最初のひとりと言えるだろう。 彼の指導のもと、私はパリダカに使われている全てのプラスネジを六角ネジに変えた。地味な作業だが、こうしておけば道中の整備でネジをなめてしまうことも防げると言う。もちろん持っていく工具やスペアパーツの選別についても、彼抜きでは語れない。
at location 765JAFで作成したカルネに縛られている私は、たとえパリダカが動かなくなっても、特別な許可が下りない限り日本に持って帰らなくてはならない義務を負っている。 そんな訳で休息中や駐車しての買い物の際にも、私が愛機から目を離すことは許されなかった。 一番面倒だったのはホテルに泊まる時で、当然屋内にバイクを格納できるか、あるいはガレージを有している施設を探さなければならなかった。
at location 1053
海外ツーリングにおける最大の不安点はメカ整備ですよね。
あたくしも「バイクは乗れればなんだっていい」タイプの人間なので、この点は非常に不安です。いつか行けるのかしら。
最低限の必要な知識は渡航前に仕入れとかなきゃならないですね。ネジを六角に変えておく、なんてやっぱり素人にゃ発想付かないものね。
ここには前述したようにモヘンジョ・ダロという世界的に有名な遺跡があるのだが、危険度4という状態が続いている。トライバルエリアをやっと乗り越えてのこの仕打ちは酷い。 そこで私はまずこのルートを削除した。モヘンジョ・ダロは日本に帰ってから写真集で見ればよかろう。 2つ目のルートはムルターンから北に伸び、首都のイスラマバードや大都市ペシャワールへと続く。 このルートも当然トライバルエリアを突っ切ることになるが、その先はチベットへと続き、路面状況は目も当てられないほどになるらしい。 北部の町フンザは「風の谷のナウシカ」のモデルとなったところらしく、旅行者の評価も高かったが、そこまでの道は崩落している箇所も少なくないと言う。
at location 1762
筆者のこの「あとで写真集で見ればよかろう」という考え方が大好きですね。そうそう、海外旅行行くとつい観光地に行きたくなるけど、優先順位の考え方からすりゃ、そんなもの後回しにしたって構わないんだから。
とはいえ「せっかく来たんだから」につい支配されがちな我々の感情をいともあっさりと「写真でいい」と言い捨てられるこの御方。好きだな。
次巻も楽しみ。
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