『それから』感想④ 女性の歓心を買うための人生 #それから #夏目漱石

結局、金持ちならではの悩みなのです。

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生涯 一人 でゐるか、或は 妾 を置いて 暮すか、或は芸者と関係をつけるか、代助自身にも明瞭な計画は丸でなかつた。 只、 今 の彼は結婚といふものに対して、他の独身者の様に、あまり興味を 持てなかつた事は 慥 である。是は、彼の性情が、一図に物に向つて集注し得ないのと、彼の 頭 が普通以上に 鋭 どくつて、しかも其 鋭さが、日本現代の社会状況のために、 幻像 打破の方面に 向 つて、今日迄多く費やされたのと、それから最後には、比較的金銭に不自由がないので、ある種類の女を大分多く知つてゐるのとに帰着するのである。

頭が鋭くってお足に不自由がない。明治という時代にこれほど無敵な人がいたでしょうか。そして親の金で遊女を買っている。まるで若旦那ですよ。こういう人種に生まれてみたかったといえばそうだが、やはり堕落するんでしょうね。

位置: 2,405
手紙 は 古風 な 状箱 の 中 にあつた。 其 赤塗 の 表 には 名宛 も 何 も 書かないで、 真鍮 の 環 に 通した 観世撚 の 封じ目 に 黒い 墨 を着けてあつた。代助は 机 の 上 を 一目 見て、此手紙の 主 は 嫂 だとすぐ 悟 つた。 嫂 は 斯 う云ふ旧式な趣味があつて、それが 時々 思はぬ方角へ 出 てくる。代助は 鋏 の 先 で 観世撚 の 結目 を 突 つつきながら、面倒な 手数 だと思つた。

この代助のまるで粋に通じない様が好ましい。観世縒りをハサミで切って「面倒だ」としか思わぬなんぞ、なかなか出来ることじゃない。漱石にもそういう無粋なところがあったんでしょうかね。

位置: 2,674
代助は人類の 一人 として、 互 を 腹の中 で侮辱する事なしには、 互に接触を敢てし得ぬ、現代の社会を、二十世紀の堕落と呼んでゐた。さうして、これを、近来急に膨脹した生活慾の高圧力が道義慾の崩壊を促がしたものと解釈してゐた。又これを此等新旧両慾の衝突と見傚してゐた。最後に、此生活慾の目醒しい発展を、欧洲から押し寄せた 海嘯 と心得てゐた。

位置: 2,707
代助は凡ての道徳の 出立点 は社会的事実より外にないと信じてゐた。始めから 頭 の中に 硬張 つた道徳を据ゑ付けて、其道徳から逆に社会的事実を発展させ様とする程、本末を誤つた話はないと信じてゐた。従つて日本の学校でやる、講釈の倫理教育は、無意義のものだと考へた。

代助のあたまでっかちっぷり。この隅から隅まで理屈でおしなべて揃えて並べて、それで世の中をわかったつもりになって斜に構える感じは、まさに頭でっかち。好きですよ。漱石もそういうふうに思っていたのかしらね。

位置: 2,848
代助は 父 を 怒らせる気は少しもなかつたのである。 彼 の近頃の主義として、 人 と喧嘩をするのは、 人間 の堕落の一 範鋳 になつてゐた。 喧嘩 の一部分として、 人 を 怒らせるのは、 怒らせる事自身よりは、 怒 つた 人 の 顔色 が、如何に不愉快にわが 眼 に 映ずるかと云ふ点に於て、大切なわが生命を 傷 ける打撃に 外 ならぬと心得てゐた。 彼 は罪悪に就ても彼れ自身に特有な考を 有 つてゐた。けれども、それが 為 に、自然の儘に振舞ひさへすれば、 罰 を免かれ得るとは信じてゐなかつた。人を 斬 つたものゝ受くる 罰 は、 斬られた 人 の 肉 から 出る血潮であると 固く 信じてゐた。 迸 しる血の色を見て、 清い心の迷乱を引き起さないものはあるまいと感ずるからである。代助は夫程神経の鋭どい男であつた。だから 顔 の 色 を赤くした 父 を見た時、妙に不快になつた。

理解できるような出来ないような。とにかく代助が変人でとても繊細で横柄であることは間違いないのです。

まだ全然物語が進まないね。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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