そんな人生も悪くない『十五の夏』

大人も色々考えるんだな。

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学生運動の情熱を今度は会社での仕事に向ける。そういう例はいくらでもある」
「学生時代と社会人になってからの違いをどう整理するのでしょうか」
「おそらく、過去の自分と現在の自分のインテグリティーについて考えることはやめてしまうのだと思う」
「どうもそういう生き方は好きになれません」と僕は答えた。 「僕もそういう生き方は好きになれない。僕は大学で研究を続けることはできなかった。それは僕にその才能がないからだ。そのことは客観的にわかっているつもりだ。しかし、大学で関心を持っていた勉強を捨てて、民間企業に勤めたいとは思わなかった」
「どうしてですか」
「民間企業に就職すると、アカデミックな勉強をする時間的余裕がなくなってしまうからだ。それで高校教師になろうと思った。高校教師ならば、教える内容自体はそれほど高度でないとしても、一生、勉強を続けることができる。そして、2年に1回くらい外国に出て、見聞を広め、洋書を買い漁ってくることができる。僕はこういう人生も悪くないと思う」
「それを酒匂さんは合理化と位置づけるのですね」と僕は尋ねた。 「そうだ。僕は大学で研究を続けたかった。

諦めてるなぁ、と思います。いい具合ですよ。人間、色々諦めてからが大切。人生は引き算です。樋口師匠もおっしゃってました。我々を規定するのは可能性ではなく不可能性だと。

あたくしも今の仕事とのスタンスはそんな感じです。アカデミックではないけど、時間が欲しくてのんびりした仕事をしている。悪くない人生です。

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「人間は嫌いなことは、いくら時間を割いても身につかないよ。身につかないと結果も出ない。結果が出ないとその科目が嫌いになる。そして、その科目が苦手になる。高校で数学と英語が苦手になるのはだいたいこのパターンだ」

下手の横好き、とは言うがね。好きだからこそ時間を割ける。一万時間かければ何でも秀でる、とはよく言いますからね。

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「それはいい経験をした」と父は言った。
「いい経験!? お父さん、どういう意味?」
「人生にはいろいろな誘惑がある。誘惑にはいつももっともらしい理屈がついてくる。その元北大生の理屈だってそうだ」
確かにそうだ。
「ここで政府が一方的に作った規則なんかに縛られずに、自分で考えて判断してみるといい。不必要なカネを政府に対して支払う必要はない」という元北大生の話を僕は一瞬、筋の通った話だと思った。
「確かにお父さんの言うとおりです」と僕は答えた。
「誘惑に抗しきれずに失敗をすることが人生では何度かある。そういう経験を早いうちにしておくと、少なくとも同じ失敗は繰り返さなくなる」

まったく、このお父さんはすごいよ。最高。あたくしもこういう父になりたい。
「一見筋が通っている理屈をもつ誘惑」というのはたくさんあります。それに抗う強さだよ。自律心だ。

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「嘘をつくことと、ほんとうのことを言わないことは、まったく別の話だ。真実を語ると、自分にとって大きな不利益が想定されることについては、黙っているというのも大人の知恵だ」

まさに。沈黙は金であります。

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教師は学生にとって重要なことは何一つ覚えておらず、つまらないことばかり覚えていると思うのだろう。しかし、佐藤君、教師と学生の間のこの非対称性が面白いんだ。結局、教師が学生に伝えられることはほとんどない。教育とは関係に入ることなのだ。師弟の関係を構築することができれば、それで十分なんだ。

あたくしはすでに、一生の師匠を決める機会を逸しました。無念。そこは本当に無念。

しかし佐藤優さんの本は面白い。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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