途端にわけわかんなくなる『海辺のカフカ 下』

上はなかなか面白かったんですけどね。

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四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女―。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。“入り口の石”を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが二人を導く闇の世界に出口はあるのか?海外でも高い評価を受ける傑作長篇小説。

海外でも高い評価?まじなのか。だとしたらあたくしの感性がズレているのか。

p89
「ねえ田村くん、悪いとは思うんだけど、そのことについてはイエスともノオとも言えない。少なくとも今は。

春樹節全開。「曖昧な答えを真摯に言う。そして同意を求め、同意する。」この一連の流れが本当に村上春樹作品に多い。具体的には「上手く言えないけど、わかるよね?」「わかるわ」の流れ。好きじゃない。

p190
「うん。僕も不自由さが好きだ。無論ある程度までということだけどね」と大島さんは言う。「ジャン・ジャック・ルソーは人類が柵を作るようになったときに文明が産まれたと定義している。まさに慧眼というべきだね。

こういう名文を散りばめ、知識を散在させることで、文章が生まれるのだとしたら、村上春樹は天才かもしれませんね。ルソーの引用なんざ、できるわざじゃない。

p200
「それから彼女は君の赤くなったペニスを癒やすように優しくなめてくれる。君は彼女の口の中にもう一度射精する。彼女はそれを大事な物のように飲み込む。

一応、佐伯さんがザーメンを飲むところを記しておきます。ほんとかよ。

p374
どうしてかはわからないけれど、自分がすでに捨てられ、そこに一人で残されたことを僕は知っている。この出来事がこの先深く決定的な影響を自分に与えていくだろうことがわかっている。誰が教えてくれたわけでもない。僕にはただわかっていたのだ。

この説明で人が納得すると思ってんのかね、って問いたい。そして実際、それをありがたがる人間が多いことに驚愕する。ほんとかよ。

p509
俺の言っている意味はわかるかい?」
「わかると思います」と僕は言う。
「どういうことだと思う?」
「言葉で説明してもそこにあるものを正しく伝えることは出来ないから。本当の応えというのは言葉には出来ないものだから」

これね。いい文章で、含蓄があるようでいて、何も言っていないのと同じだと思うんですよ。正しく説明することが難しい感情を物語にするのが小説で、解釈はたくさん有ってもいい。それを登場人物に言わせるメタさ。オタクっぽいよね。

p523
「さよなら、大島さん」
と僕は言う。
「そのネクタイはとても素敵だよ」
彼は僕から離れ、僕の顔をまっすぐ見て微笑む。「いつそれを言ってくれるのか、ずっと待っていたんだ」

大島さん可愛い。嫌かもしれないけど女性として可愛い。

p526
比重のある時間が、多義的な古い夢のように君にのしかかってくる。君はその時間をくぐり抜けるように移動を続ける。たとえ世界の縁まで言っても、君はそんな時間から逃れることは出来ないだろう。

詩的だよね。とっても。ロマンチック。比重のある時間、なんてなかなか言えないよ。

さて、とりあえずホシノ青年の旅も終わったわけで。最後まで一貫して言っていることがわかったのはホシノ青年だけでしたね。準優勝がナカタさんと大島さん。どうもカフカくんに感情移入出来ない。

次回、考察します。

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