『ノルウェイの森』の直子は結局、キズキを選んだのか?

この長い手紙。一時にこんなにかけるもの?

p189
別れ際に緑は僕のコートのポケットに四つに 折ったレポート用紙をつっこんだ。そして家に帰ってから読んでくれと言った。僕はそれを電車 の中で読んだ。

「前略。
今あなたがコーラを買いに行ってて、そのあいだにこの手紙を書いています。ベンチのと なりに座っている人に向って手紙を書くなんて私としてもはじめてのことです。でもそうで もしないことには私の言わんとすることはあなたに伝わりそうもありませんから。だって私 が何言ったってほとんど聞いてないんだもの。そうでしょ? ねえ、知ってますか? あなたは今日私にすごくひどいことしたのよ。あなたは私の髪型が変っていたことにすら気がつかなかったでしょう? (中略)私だって女の子よ。いくら考え事をして いるからといっても、少しくらいきちんと私のことを見てくれたっていいでしょう。たった ひとこと『その髪、可愛いね』とでも言ってくれれば、そのあと何してたってどれだけ考え ごとしてたって、私あなたのこと許したのに。
だから今あなたに嘘をつきます。お姉さんと銀座で待ちあわせているなんて嘘です。私は 今日あなたの家に泊るつもりでパジャマまで持ってきたんです。そう、私のバッグの中には パジャマと歯ブラシが入っているのです。ははは、馬鹿みたい。だってあなたは家においで よとも誘ってくれないんだもの。でもまあいいや、あなたは私のことなんかどうでもよくて 一人になりたがってるみたいだから一人にしてあげます。一所懸命いろんなことを心ゆくま で考えていなさい。

はたして、このミドリは可愛いのかしら。あたくしは面倒くさいな。正直。世のハルキストたちはどうなのかしら。緑vs直子論争とかやってるのかな?それは楽しそうだ。

p211
「どれくらい私のこと好き?」と緑が訊いた。 「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」と僕は言った。 「ふうん」と緑は少し満足したように言った。「もう一度抱いてくれる?」
 僕と緑は彼女の部屋のベッドで抱きあった。雨だれの音を聞きながら布団の中で我々は唇をかさね、そして世界の成りたち方からゆで玉子の固さの好みに至るまでのありとあらゆる話をした。

面倒くせぇ女だ。直子も緑も面倒くさい。あたくしはどっちも嫌だな。ユミヨシさんがいいな。

でも、村上春樹の「世界の成りたち方からゆで玉子の固さの好みに至るまでのありとあらゆる話をした」ってところは本当にすごいと思います。とにかくロマンチックだな。

以上で『ノルウェイの森』の感想終わり。

あらためて

p21
もちろん直子は知っていたのだ。僕の中で彼女に関する記憶 がいつか薄らいでいくであろうということを。だからこそ彼女は僕に向って訴えかけねばならな かったのだ。「私のことをいつまでも忘れないで。私が存在していたことを覚えていて」と。 「そう考えると僕はたまらなく哀しい。何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。

について。

直子はやっぱりキヅキが忘れられなかったってこと、でいいのかしら。少なくとも主人公はそう思っているってこと?でもそんな女を30後半にもなってウジウジ引きずってんの?緑的な女と付き合っても忘れられないってこと?

なんだかウジウジしてんな。可愛くもあるけど30後半になっても自分に同情しているような主人公ってこと?

なんだかかわいそうだな。

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