青くも大器を感じさせる『十三番目の人格 ISOLA』 2

そもそも、13人も必要なのかな?ってのはありますね。

位置: 3,181
今にして思えば、叔父の竜郎も、磯良によって殺された可能性が、きわめて高い。彼女は、殺人に対して、何ら禁忌を持っていないのだ。
磯良が完全に記憶を取り戻した時、真部を殺しに来るのは明白なように思えた。

磯良ってそんなに非人間的な感じしないんですよね、最後まで読むと。むしろどこまでも人間臭い怨霊。だから、読み返すとこのあたりがちょっと不自然に思いました。

磯良とは、やっぱりどこまでも弥生であったと思ってしまうのはあたくしだけかしら?そうなると、竜郎殺しは磯良じゃないと思っちゃいますね。

位置: 3,754
群れの他の構成メンバーが次にどんな行動をとるのかまったく予測できないようでは、群れの秩序は維持できないし、狩りのように自分の命を危険にさらすかもしれない共同作業を安心して行うことはできない。
感情は、一見非合理的だが、実は非常に内的整合性のある合理的な体系を持っている。どういう刺激を加えれば、どういう反応が帰ってくるかは、予測が非常に容易なのだ。

感情というのは共感するために存在している、という極論。
でもそうかもしれません。あたくしは常々、邪魔だなと思うときがあったんですよ、感情って。ただ、これが群れの秩序のために必要なんだと言われればその通りだと思いますね。

位置: 3,884
『由香里!』  真部の感情が、ふたたび燃え上がった。真部は由香里を抱き寄せた。今度はもう、拒む理由はなかった。真部はすべてを知って、受け入れた上で、彼女を求めていた。
真部は由香里に接吻し、二人は折り重なってベッドの上に軟着陸した。真部は由香里の帯を解き、自分のもほどこうとした。
真部の動きが止まった。
「どうしたの?」
「紐が、からまった……!」
真部は立ち上がって、ちらちらと由香里に熱い視線を送り続けながら、いつの間にか固結びになってしまっている浴衣の紐と格闘した。とうとう腹を立ててあきらめ、紐が輪になったままで、もがくような動作をして浴衣から抜け出した。

こういうコメディチックな演出、嫌いじゃないです。
いいよね、直前でヤキモキする感じ。

ちなみに由香里ちゃん、手コキ仕事でした。

位置: 4,251
由香里は、絶望して口をつぐんだ。ようやく、磯良の本当の動機が、何であるのかがわかったのだ。彼女は、復讐の欲求で真部を捜したのではなかった。彼女は、嫉妬していたのだ。
彼女と違って、大震災で肉体を失わなかった真部を。そして、恵まれた容姿で、容易に彼の愛を勝ちえた由香里を。
だとすれば、由香里が真部を庇えば庇うほど、逆効果でしかない。

やっぱり、だとすると他の人を殺していたのは違う人格だということになりませんか?

ま、最後は完全に暗い未来を予想するエンディングの仕方で、なんとも言えない後味でしたしね。磯良が死んで物語はお終いですが、千尋の物語はこっから更に悪化していくこと請け合い。

ちなみにこの物語、昔映画館で観た記憶が蘇ってきました。リング0と同時上映でしたね。すっかり忘れてた。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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