待ってました、第六巻!
現役の落語漫画ではナンバーワンの人気と内容でしょう、『昭和元禄落語心中』。
その第六巻がいよいよ出ました。待ってました。
助六となった与太郎の噺、気になってました。
与太郎の真打披露での気持ち、分かるわぁ
実際に高座に上がっていると、こういうこと、よくあるんですよ。
「笑えよ!」「変な所で笑うな!」ってね。
こっちもリズムでやってますからね。くすぐりで笑われなかったり、変な所で笑われちゃうと、調子が狂うのは本音です。
まぁ、笑ってもらえるだけありがたいんですけどね。
助六は真打ち、あたくしはアマチュアの前座。
立場は違いますけれどね。雲田先生、よくお分かりで。
与太郎は賢いのか
談志師匠は与太郎を「賢い」とおっしゃっていましたが、あれは皮肉ではなく、本当にそうお思いだったのでしょうか。
この漫画に出てくる与太郎は、バカだけど一本気で、正義ではあります。
「与太郎はバカだ」で済ませることは簡単であるし、それが与太郎が与太郎である所以でもあります。
彼は、他人から見れば、愚かさがアイデンティティです。
この漫画では、その与太郎という名前を与えられた主人公がバカなことをやらかして、それが物語の重心軸となって話が回転していきますが、こういう遠心力を持つというのは一つ利口というよりは長所だってことになるんですかね。
談志師匠のどの著書を読んでも、あたくしはイマイチ彼の利口さについて膝を打つほどの理解が得られていないのです。
与太郎が分かるようになれば一端の与太郎だ
ってぇことですかね。
なんのこっちゃ。
与太郎の『居残り』
この物語のテーマに深く関係する「何のために落語をするのか」という問い。
それを八雲師匠は『居残り佐平次』をやらせることで明らかにしようとします。
今のところ、与太郎は「落語のために落語をする」と言っていますが、果たして本当にそうなのか。
思えば与太郎はずっと、「誰かのために何かをしたい」という気持で動いてきました。
親のために刑務所に入り、アネさんのために喧嘩する。
「遠慮無く他人の心配が出来るというのは気持ちいい」ということまで言ってましたからね。
この「尽くす阿呆」に何を語らせて、何を為させるのか。
雲田はるこ先生、どうします?
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