昭和の大名作映画だそうで。
1943年から1965年までに4回映画化されているってぇんですから、その人気たるや。
1963年と1965年のものは、それぞれ東映と大映での配給です。
そんだけのキラーコンテンツだったんでしょうね。
明治の小倉が舞台
舞台は明治の小倉。
人力俥夫の松五郎の周りに起こる、それほど数奇でもない運命をドラマチックに描いてるんですが、これが活き活きとしていて面白い。
当時の町並みの具合、寄り合いの様、田畑の風景。
どれも面白いです。1943年の時に「明治ってこんなんだった」という映像を撮ったということが既に面白いもの。
阪東妻三郎ってぇ人は、なんというか、両津勘吉そのものな感じですね。
実写版『こち亀』はこの人に演ってもらえばよかったのにね。
2度の検閲
この映画が伝説的に語られている要因は、その内容の素晴らしさだけではないのです。
1943年版は、戦前に内務省により、戦後にGHQにより、それぞれ検閲を受けていることも、要因です。
そして悲劇的に、検閲を受ける前の映像は未だに見つかっていないんだとか。画像の切り貼りならあるそうですけど。
ですので、今回あたくしが観た1943年版は、物語としては大変に不揃いなものと言えます。不完全とでも言いますか。
その証拠に、監督の稲垣浩氏は1958年に三船敏郎主演で作りなおしているほど。
ちなみに、内務省による検閲は「軍人の未亡人に俥夫が恋慕するなどけしからん」ということだそうで、GHQによる検閲は「日露戦争・日中戦争での勝利を祝うシーンがある」ということだったんだとか。
はー。時勢ですねぇ。
主演が伝説の名優ばかり
第一作の松五郎は阪妻こと阪東妻三郎氏。
二作目は前述のとおり三船敏郎氏で、三作目は三國連太郎氏。そして四作目が勝新太郎氏。
どなたも伝説です。これだけで、どれだけの位の映画だか、分かりますよね。
ちなみに大映版の音楽は伊福部昭氏ですって。
物語の補完のために、二作目も観ようかしら。
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