この人、目が笑ってない時あるんですよね。昭和の喜劇人は怖い。
幼い頃に両親を亡くし、世間の厳しい風にさらされてきた山田正助(渥美清)にとって、三度三度のおまんまをいただける軍隊は、どんなに上官から殴られたりひどい仕打ちを受けようとも天国そのものであった。やがて戦争が終わるとの噂が立ち、いつまでも天国にいたい彼は、大好きな天皇陛下に手紙を書き、不敬罪寸前となる。日中戦争から太平洋戦争となり、正助も戦場に駆り出されるが、やがて終戦を迎え…。ユーモアとペーソスの中からそこはかとなく軍隊批判を醸し出す名匠・野村芳太郎監督の傑作戦争喜劇。何よりまず渥美清の個性と芸があって成立している作品でもあり、ここでのどん臭いが憎めない人物像を演じさせたら、彼の右に出る者はいないといっても過言ではないだろう。(増當竜也)
『和風フォレスト・ガンプ』なんて言う人もいるそうです。ちょっとニュアンスが違うと思いますが、人柄はフォレストと似ているかも。
チャップリンの名言『人生は近視眼的にみると悲劇だが、引いて観ると喜劇だ』がぴったり。好きだなぁ。
この時代に生まれていたら、あたくしはどう生きていたでしょうね。山田風太郎みたいになれるかな。
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都内在住のおじさん。
3児の父。
座右の銘は『運も実力のウンチ』
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