『君の名は。 Another Side:Earthbound』感想 いやーいい外伝だわ

本編の理解がより進む。単なる外伝ではありませんね。

東京に暮らす男子高校生・瀧は、夢を見ることをきっかけに田舎町の女子高生・三葉と入れ替わるようになる。
慣れない女子の身体、未知の田舎暮らしに戸惑いつつ、徐々に馴染んでいく瀧。
身体の持ち主である三葉のことをもっと知りたいと瀧が思い始めたころ、普段と違う三葉を疑問に思った周りの人たちも彼女のことを考え出して――。
新海誠監督長編アニメーション『君の名は。』の世界を掘り下げる、スニーカー文庫だけの特別編。

良い商売してるわ。

やたら乳にこだわるところがオジさんぽくて笑っちゃうけどね。新海誠氏が書いているわけじゃないのもまた、ポイント。微妙に映画と小説と外伝とでキャラクターの認識が違う気がする。

p182
ー宮水は倭文神の末裔。ムスビに祈るもの。時間の綾をたぐって、来し方と行く末とに心寄り添わすもの。そなたの背なには、時の流れの中にある、すべての宮水の女が添うておると知るがよい

男は最初から度外視なのだ。女系の一族。日本古来の神々を出すあたりがかなりオタクっぽいね。

p216
「そうなのかもしれませんが、私はあなたのお話が聞きたいです」
殺し文句どころではない。
殺されたようなものだ。

たいていの研究者は、このセリフに飢えている。という前置きをした上で、これを言わせる。宮水さん、そりゃ研究者キラーですわ。三葉パパ殺されちゃうわ。

p229
こうして帰る場所をなくして、溝口俊樹は糸守町の神社のそばの宮水邸に居を移し、宮水俊樹となった。旧居から盛ってきたものはテクニクスのレコードプレイヤーとマランツのアンプとタンノイのスピーカー、LPがぴったり百枚(うち三十五枚はグレン・グールド)

クラシックに造形が深い設定、あまり生かされてないな、と。省かれちゃったのかな。ここで急に出てくるとびっくり。もうちょっと匂わせるように出せなかったのかと。

やっぱり特に最終章、三葉パパの話はぐっと来ますね。映画で語られなかったところが随分とあって、なるほどと腑に落ちる。堪能したわ、世界観を。

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