『年々彩々』 秀良子著 行間の使い方の妙。これぞBL。

行間とコマ使い

この間、O.B.のときも語りましたが、BLの凄さって行間とコマ使いですよ。
そこにどうして男同士の恋愛が絡まなくてはならないのかは分かりませんが、でも、BL作家の方々はことごとく「行間」の使い方がお上手です。あと、コマ使いね。空白のコマに意味を持たせることとか、すごく上品。

どうして恋愛が男同士でならなければならないのか。
これはあたくしがBLを読む上で、もっとも深淵なテーマかもしれません。

今回はそんなBL作品の中で、最近読んだ本のなかで一番のもの。

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幸薄い人って色っぽい

女性でも、男性でも。
幸薄いって素敵ですよね。いや、全然素敵じゃないんですけど。でも色っぽい。

貧乏神に色恋を足す発想

話自体は古典落語の「寿限無」や「貧乏神」がテーマになっています。
これらをBL風に仕立てたと言えなくもない。

けど、ちょっと笑福亭鶴瓶師匠の「死神」も入ってますかね?
貧乏神がおかみさんのようになって、しょうもないヒモ男の面倒を見ざるを得なくなる。
素敵な話です。荒唐無稽で滑稽です。

秀氏はこれに「切ない」要素も足しています。
これがまた、もう、胸を締め付けるったら。凄いんですから。
味付けも上品で、読了感もあります。

枝雀師匠が聞きたくなる

とはいえ、枝雀師匠の落語をきいて大笑いしたい気持にもなります。
あぁ、寄席行きたいなぁ。