正直、あたくしには要らない本かと思いましたが、改めて考えるとなかなか面白いですな。
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著者自ら海外旅行でデジタルデトックスしてみたり、SNSを活用する方法を考察したり、芸術や映画、文学を考えてみたり…ヒントをちりばめています。「毎日ネットで時間を浪費しちゃているなぁ」と感じている人はこの1冊で考え方がガラリとかわっちゃうかも!
何の気なしにDLして読んでみたんですが、あっという間に読めました。読み易い。
ただ、新しく得るものは何もなかったというのが本音です。
今の私たちがいるのは、『一九八四年』の世界です。だけど、そこから抜け出す方法はあります。SNSへの接続を断って旅に出ること。周囲を模倣せず、自分のなかにある欲望を大切にすること。それを怖れずに発信すること。だけど、独りよがりにならないこと。偶然の出会いを信じること。 私たちはそうやって、他者との差やズレを媒介にしながら、今いる場所から別の場所へ、少しずつ少しずつズレていくのです。
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ジョージ・オーウェルほど絶望的な状況ではないだろ、と思いましたが、この人の本を読むうちにどれだけの人がSNSによって消耗されているかをうかがい知ることになります。
そもそもフェイスブックすらやっていないあたくしは、SNSの魅力も知りませんしそれによって得る疲れもさほど知りません。
ただ、旅の素晴らしさだけは知っています。
たとえば旅行であれば、私は出かける前に5冊、帰ってきたあとに5冊、最低10冊は必ず現地に関する本を読みます。そうして知識をつけることで、また目の前の対象物に隠されている物語を知ることで、ひとつひとつの旅が立体的になり、観光情報や絶景だけではなく、それらとはちがったまた新しい表情を見せてくれるようになります。
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そうそう。あたくしもベトナムに行く前と後に読んだ開高健さんの本は死ぬほど面白く読めたと記憶しています。
旅行に行く前には前知識を入れない、というのもいいですが、旅行に行った後は絶対にその地のことが書いてある本を読んだほうがいい、と、強く同意します。
ただ、逆に、この手のことをわざわざ書かなきゃならないほど、現代のSNS人は旅の魅力を知らないのでしょうか。そんなわけないでしょ。
確かに観光地に行って美味いもの食って、それを投稿してアピールしなきゃいけないのは忙しそうですけどね。
SNSやインターネットへの過剰接続が心に疲労をもたらす原因は、おそらく「欲望が似通ってきてしまうから」です。
at location 557
この言葉にはハッとさせられました。
そうか。そういうことなのか。
「オレもオレも」「私も私も」の連鎖を起こし、視野が狭窄になるからこそ、疲れてしまうのでしょうか。なんか分かる気が、しますな。
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