『友がみな我よりえらく見える日は』感想_2 タイトルで衝動買いだが素晴らしかった

人生は長い目で見ると喜劇ですね、チャップリン。

位置: 1,644
「ぼくが看護から挫折したこと、これを切り捨てるのではなく、ぼくの大切な経験として、ぼくの底流としてこだわり続けたい。この経験がなかったらぼくがぼくではなくなるからだ」
挫折や失敗も、それが自分の経験なら自分というものを形成する大切なものなのだと上田は思っている。
その後も、秋口になると彼はうつ状態におちいっている。

秋口など、季節の変わり目がうつに悪いってのは、うつヌケにも書いてありましたね。
挫折や失敗も財産。綺麗事のようだけど、そう思うしか無いよね。

位置: 1,692
お金が入ったときに食べるすき焼きが1980円で、毎週サウナに行って5000円、掃除のために月々3万円。これが三村の金銭感覚。 「ぼくも四五だし、かなりいい給料になってんですよ。だから、自分の時間が買えるんなら、値段は気にしないんです。

お金の使い方って、本当にその人の生き方とか哲学が分かる。
「なんでそれにそんなお金を?」というのが個性。

位置: 1,717
(良子は、肉を焼いて飛び散った油を拭かなければならなかったことや、別れにいったセリフなど、まったく覚えていなかった。彼女はいった。「彼は哲学の本を読むことの方が、家事をすることよりも上だっていう価値観を持ってるのね。その一方で、日常的には、私に母親であることを求めていたのよ」)

ここ、笑っちゃいました。人は勝手に物語を作るからね。
みんな物語話者だ。

位置: 1,725
好きなことって? 「いまのところ、音楽を聴くこと、本を読むこと、絵を見ること、語学を勉強することですね。いい音楽を作るとか、本を書くといった創作者的な目標を持った行為じゃないんです。あくまで、消費者として、瞬間瞬間の快楽の持続なんです。

瞬間瞬間の快楽の持続を好きなこととして挙げるのって、若いときには出来ないことでしょう。どうしても作り手に憧れ、十把一絡げの消費豚になりたがらない。

しかしそれを胸を張って言える。これも年のおかげでしょうか。

位置: 1,730
「淋しいっていうのは、そういう夢を見た時、淋しくなるんですよ。誰かといっしょにいたい、そのことが自分のあり方だと思っていると、独りでいることが淋しくなるんです。

独りがいい、と心から思う。
それも年のおかげだろうなぁ。

位置: 1,858
劣等感にさいなまれ、自尊心が危機におちいった時、私はノートに向かう。経験したことをちくいち再現する。すると、 彼我 の違いがハッキリする。彼になくて我にある良いところを探す。ひとつでも二つでも三つでも。そうやって、私は自尊心を回復してきた。
他人はどのようにして自尊心を回復するのだろうか?

自尊心ね。大人になると、なかなか回復って難しくてね。
自分で自分を愛するしかない、ってのも、年季を経た価値観だね。若い頃は絶対そんなこと思わなかった。

位置: 1,876
J・P・サルトルのインタビュー映画がある。二時間近くの間、サルトルが文学について、哲学について、政治について語る。最後に、インタビュアーが「人生で一番つらかったことは何ですか?」ときく。サルトルは二、三秒黙っていて、ゆっくりと口をひらく。 「顔だ。この問題は苛酷だね」
大哲学者でも、容貌にずっとコンプレックスをもっていたのだ。

これ、好きな話だなぁ。サルトルって確か斜視だよね。
サルトルすら、人に好かれるかどうかで判断せざるを得ない価値観があったってことだね。

いい本だった。最後まで読んで、やっぱり、「花を買い来て妻と親しむしかない」と改めて思えました。

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