『闇に香る嘘』を読んだ 前半

どうも、マツオです。

今回私が読んだのは『闇に香る嘘』 下村敦史著 です。

総合評価 ★★★★★★★★☆☆ 8/10点

本作は江戸川乱歩賞、このミス第3位と自分の好みの賞を取っている作品ということで、最初から楽しみのハードルを上げた状態で読み始めました。

ざっくりどんな話しかというと、主人公は盲目のおじいちゃんです。妻は離婚の後に事故で亡くなっており、娘と孫娘がいるのですが、娘との諍いにより今は別々に暮らしているので、このおじいちゃんは一人暮らしです。田舎に母親と兄がいます。重要な登場人物はこんなところです。

盲目なのに一人暮らしというのはなかなかに大変だと思うのですが、この主人公は元々目が見えていたが、40歳くらいの時に失明し、それに絶望し、周りに当たり散らして一人になってしまったのでまあ自業自得といえばそれまでですね。

そんな主人公が置かれている状況は複雑で、実は中国の残留孤児問題がここに絡んできます。ここの話しをしだすと少し長くなってしまうので省略しますが、簡単に言うと母・兄・主人公は満州に移民として行った、そこから逃げ出すが事故により兄は残留孤児として中国に残ってしまう、その何十年か後に兄は母と会う機会を得て日本に戻ってきた、こんな経緯があります。

さて、この主人公は盲目のため、色んな疑心暗鬼にとらわれます。兄は本当に自分の兄なのか?中国人の偽物が母を騙して日本国籍を取得したのではないか?そんな感じで様々な疑心暗鬼に陥っていきます。

また目が見えないために、「入国管理者の人間です」と名乗られたところで、証明するものを見れるわけでもないし、本当にその人間なのか分からないわけです。実際この主人公は盲目であるが故に沢山の人に騙されます。

ダラダラと作品のあらすじを追うのはこれくらいにして、個人的な感想をまとめると、この作品はとても設定が練りに練られているなと思います。盲目であったり、家族構成だったり、このような設定でなければ成り立たない事象が沢山盛り込まれています。人によってはご都合主義に見えるかもしれませんが、私はこの設定を作り上げた綿密さを評価したいなと思いました。

少し今回の作品は内容を説明するのが難しく長くなりそうなので、前後半に分けます。今回は前半の感想ということで、また次回後半の感想を述べたいと思います。

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matsuo

トラック野郎でロリコン男。 本をよく読む。

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