『頭の回転が速い人の話し方』 ま、理論は理論だわな

岡田斗司夫の話が、好きなもので。

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■最強の会話術とは何か?
本書を読んだら、ほかの話し方本は副読本にしかならない!

「なぜ英語を中高6年間学んでも全然話せるようにならないのか?」とは、
日本人の英語教育を揶揄する常套句です。

しかし、6年どころか何十年と日本語を使ってきて、
それでもなお「話し方」を学ばなければならないというのも、
よくよく考えたらかなり奇妙なことです。

要は、時間・場所・相手などが変わると、
学んだはずの話し方が一気に通用しなくなってしまうから、
「営業トーク」「人に好かれる話し」「雑談力」など、
次から次へ出てくるテクニックを際限なく学ばなければならなくなるわけです。

しかし、本書でお伝えする次の2大メソッドを学べば、もうその必要はありません。

【ユニバーサル・トーク】
どこでも、いつでも、誰にでも伝わる話し方

【戦闘思考力】
頭の回転をコントロールし、時にはさらりと切り返し、
時には相手を答えに導く思考の武道

ふつうの「話し方本」はテクニックに偏っているものがほとんどですが、
本書はそのテクニックを生かすための基盤を学ぶことからはじめます。
本書を読んだら、もう二度と話し方本を買わなくてもすむようになります。
副読本としてなら、十分に活用できますけどね。
■面接・プレゼン・セールスなどに効く!
さらりと切り返せる!負けない!

・絶対に負けられない会議がある!
・どうしても言い負かしたい相手がいる!
・会議やコンペで、一目置かれる存在になりたい!
・咄嗟に振られても、面白いことが言えるようになりたい!

本書は上記のようなニーズに応えますが、読者を選びます。
自主規制をしているとはいうものの、本書でお伝えするメソッドは、
場合によっては下記の欲望をいとも簡単に満たす危険なものにもなりうるものです。

・とにかく相手を言い負かしたい、黙らせたい。
・無理矢理でも自分の意見を押し通したい。
・騙してでも、モノを買わせたい。
・自分を偽ってでも人気者になって、モテまくりたい。

まあ、使用法は読者にお任せするしかありませんが、
本書を読んでいただければ、そんなスケベ心を満足させることなんかよりも、
もっと価値のある物を手に入れられることをお約束します。

もう本の導入の仕方が詐欺師のそれですよね。
こういう詐欺師まがいの、眉毛がつばでダラダラになるような本というのはそれはそれで面白い。心して読む必要がありますがね。

Amazonのレビューも星一つが多い。
これは岡田斗司夫にとっては賛辞といっていいでしょう。
星5つばかりの本よりかはよっぽど真っ当で信用に足る本であります。
褒めと貶しが同じ箇所について言われているものは、良い物ですからね。

「確かにAもわかるよ(共感)。だもんね(再構築)」 「確かにBもわかるよ(共感)。だもんね(再構築)」 「確かにCもわかるよ(共感)。だもんね(再構築)」  なぜ、このようなプロセスを通る必要があるのでしょう?  人間というのは、相手が共感してくれた分、そのお返しとして自分の中にも相手に対して共感する余地が生まれるものです。  ここまでくれば、自分の意見を理解してもらうのも簡単になってきます。次のように主張するんです。 「AとBとCの考え方もよくわかる。だから、それぞれの主張を取り入れながら、という方向性を探るのはどうだろうか? あるいはEという方向もあるよね」  これがユニバーサル・トークです。  ユニバーサル・トークというのは、自分の考えDを是が非でも通そうとするテクニックではありません。  みんなの意見を取り入れて一つになるように、再構築したととをひっくるめてやEのような答えをつくることなんです。
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ユニバーサル・トークというのは、自分の考えていることを話すのではありません。  自分の考えていることを一つの立場として、そのほかの人が考えるであろうことを全部混ぜて結論を出すことです。
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つまり、相手の意見に共感し、まとめて再構築して発表する。そうするだけで、その場には一旦一体感が産まれる、と。

そして、戦闘思考力。なんか野蛮な言葉だと思いますが、考え方は面白い。
頭の回転が早い人は、往々にしてトップギアが凄い。バイクでいうと5速や6速ですな。
でも、それだけじゃ共感を呼びづらい。頭はいい、と思ってもらえるけど、それだと共感が産まれず、人はついてこない。

どうするのか。
ローギアを鍛えろ、と岡田さんは言います。

ローギアというのは、考えるスピードをあえてゆっくりにすることです。  いつもいつも自分が言っていることを自分で疑って、立ち止まって、受け取るだけのことをします。  たとえば相手の話を聞くときに、すぐに言い返したくなることがありますよね。これはギアをトップに入れたまま人の話を聞いているとそうなってしまいます。ですから、人の話を聞くときは、ギアをローに入れます。回転速度を遅くするんです。  これは、頭を悪くするという意味ではなくて、相手の言っていることの隅々まできちんと吟味することです。ユニバーサル・トークで言うところの共感の質を高めてくれるスピードです。  僕がローギアを使うのは、たとえば講演の質問コーナーで「質問はありますか?」と聞いて、手を上げた人が話し出したときです。そのとき、絶対トップギアにしちゃダメです。
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もちろん、独善的になったら失敗です。軸がぶれないからこそ譲歩できることが見えるし、謝ることができるからです。  勘違いしている人は、言い張ったり、相手に言い勝とうとしてしまうんです。その間に戦闘思考力のトップ・ミドル・ローのギアや、表現力が空回りしてしまいます。  だから、自分を律する、そして相手を守ってあげるという意味の強さを含んだ自己を持つことが大切なんです。
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① 相手の言葉をさえぎらない  相手が話しているときに、先読みして「要するにあなたが言いたいのは、○○ですよね」などと要約したり、さえぎったりせず、「わかるなぁ~」などと受容・共感する(カウンセリングでいう傾聴)。 ② 具体的に共感する 「わかるなぁ~」と言いながら、その内容に似た体験などを探し、発言する。できるだけ「自分の体験談」を話すよう、気をつけてください。単なる相づちより効果100倍です。 ③ 相手が心を開いてきたら、さらによく聞く  ①②のステップを踏めば、相手が心を開いてくれて本当に聞いてほしい話をするようになります。こうなったら大成功。油断しないで、相手の言葉を遮らず、共感しながら聞きつづけてください。
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自分で言うのもなんですが、あたくしなんぞ、トップギアにすぐしたがります。
いけませんね、プレゼンが下手という自覚もあります。

確かにその原因はトップギア。落語もそう。観客置いてけぼり。
全力でやるからこそ、誰も付いてこれない、独りよがりの舞台になりがちです。

ローギアか。いい概念ですね。
誰にも言われたことはないけれど、確かにそういうことが必要だという認識はありました。
昔昔亭桃太郎師匠の噺ぷりとかがそれでしょうか。違うか。
入船亭扇橋師匠かな。

その上で岡田さんはルールを設けます。

ルール① 勝たない ルール② 「勝つ」のではなく「答えをつくる」 ルール③ 相手を負けさせない ルール④ 相手を笑わせる ルール⑤ 悩ませない ルール⑥ すっとさせる
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これが出来たらね。すごいよね。
よほど精神的に余裕がないと、このルールは守れない。
けど、これが健全な精神であることは認めざるを得ません。難しいね。

まとめ

岡田斗司夫さんのいつもの感じ。
詐欺師まがいの手法だが、本質はついている場所もある。

勉強になりますな。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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