『エンダーのゲーム』感想 4 SFの戦闘シーンって難しいね

指揮官が孤独になっていく様が秀逸でね。

位置: 2,715
だが、指揮官としてのエンダーへのリーダーたちの信頼が増すにつれて、バトル・スクール時代の思い出から生じていた友情は徐々に消えていった。親密になったのはリーダー同士だった。打ち明け話をするようになったのはリーダー同士だった。エンダーは彼らの教師にして指揮官だった。彼らとエンダーとの距離は、エンダーとメイザーとの距離と同程度になったし、エンダーはメイザーに負けず劣らず口うるさかった。

強すぎるカリスマは孤独になりすぎる。これは真理ですな。
あたくしの周りにも強すぎるカリスマがいましたが、結局彼のやることに誰も反対できず、つらい思いをさせたような気がします。あたくしも何も出来ませんでしたね。

位置: 2,782
ペトラが壊れてしまったという事実に変わりはなかった。そして彼女は編隊リーダーのうちの最弱からほど遠かった。それは警鐘だった――部下の指揮官たちに、耐えうる限度以上の無理はさせられなかった。

大切なものを守るために大切なものを犠牲にしなければならない矛盾な。
良く出来てる。

位置: 3,018
「ぼくは あなた を倒したんですよ」
メイザーは笑った、部屋じゅうに響く大きな笑い声だった。
「エンダー、きみは一度も わたし とプレイしていなかったんだ。わたしが敵ということになってから、一度も ゲーム をプレイしていなかったのだよ」

位置: 3,059
「ぼくはパイロットたちに、突っこんで死ねと命じておきながら、それを知りもしなかったんだ」 「彼ら は知っていたよ、エンダー。それでも行ったのだ。目的を知っていた

最終試験だと思っていたものは本番だった。
衝撃の事実。人類は賭けに乗り、勝ったわけです。その後味の悪さよ。

位置: 3,069
下はとんでもないことになっている。戦争が始まりかけているんだ。アメリカ人たちは、ワルシャワ条約機構がいまにも攻撃しようとしていると主張しているし、条約機構は〈 覇者〉についておなじことをいっている。バガー戦役が終結して二十四時間しかたっていないというのに、下ではまたぞろ戦いに逆もどりというわけだ。そして彼らは全員、きみについて気をもんでいる。彼らは全員、きみを欲している。史上もっとも偉大な軍事指導者よ、彼らはきみに自分たちの軍隊を指揮してもらいたがっているのだ。アメリカ人たちが。〈 覇者〉が。だれもが――ワルシャワ条約機構だけは別で、彼らはきみに死んでほしがっている」

命をかけて守られたものが、またその命を賭して仲間割れしようとしている。皮肉だね。
とんでもないニヒリズムに陥ってもおかしくない。

位置: 3,363
エンダーはいった。「ひとつだけはっきりさせておきたい。ぼくは姉さんのために行くんじゃない。総督になるために、あるいはここで退屈してるから行くんじゃない。ぼくが行くのは、ぼくがバガーをほかのだれよりもよく知っていて、あっちへ行けば彼らをより深く理解できるかもしれないからだ。ぼくは彼らから未来を盗んだ。だから彼らの過去からなにを学べるかを調べることによって、つぐないはじめるしかないんだ」

そしてエンダーはかつて虐殺した敵のために動く。
皮肉とロマンに満ちた、良い終わり方だな。

位置: 3,388
まもなくこの惑星、〈エンダーの世界〉にも新たな植民団が来る。まもなく隣人ができる。彼らはすでにここへ来る途中だった。けれども、だれも気にしていなかった。新顔が来たら手を貸し、自分たちが学んだことを教えるつもりではいるが、いま暮らしていく上で問題なのは、だれとだれが結婚するのか、だれが病気なのか、いつ植え付けをすればいいのか、そして買った子牛が三週間で死んでしまったのに、なんで代金を支払わなければならないのか、だった。

位置: 3,493
だから彼らはぼくにしか、ぼくを通してしか話すことができないのだ。われらは汝らに似ている、という思考が彼の心へ押し入ってきた。われらに殺すつもりはなかったし、それを理解したあと、われらはもう行かなかった。汝らと出会うまで、われらはわれらが宇宙における唯一の思考する存在だと思っており、たがいの夢を夢見られない孤独な動物たちから思考が生じうるとは夢想だにしなかった。いかにすればわれらに知りえたろうか? われらは汝らと平和に共存することもできた。

いいラストだ。
当然人気が出て、続編がぞろぞろ出ているそうです。読むかなー、読めるかなー。まだまだ積んでいる本が沢山あるしね。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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