『十月の旅人』感想 ブラッドベリの翻訳はどれも分かりづらい

これは彼の文章に癖があるせいなのか?

ブラッドベリの習作時代から円熟期にかけての作品のうち、これまで邦訳の短編集には未収録の10編を伊藤典夫氏が選んでまとめた作品集。発表年代は1943年から53年までの10年間にわたる。過去と未来の日々を繊細な感受性と豊穣な幻想のなかに描くファンタジー。

あえてわかりづらく書いているとしか思えない。
この味わいが楽しめないと、ブラッドベリ好きとは言えないのだろう。

位置: 225
が空を見守っていた。 「変だな」とビルがいった。「いま、ふとウィスコンシンのメリン・タウンでおれがかよっていたセントラル・スクールのことを思いだした。もう何年も考えたことはなかったのに。ララビーというオールド・ミスの先生がいてね――」彼はいいよどみ、ワインを飲み、それっきり口をつぐんだ。

位置: 228
「もう時間?」ジョーは父親の膝にとびのった。 「村の子供たちといっしょにいるんじゃないのかい?」ウォルトがきいた。 「ううん、パパといっしょにいるよ」とジョーはいった。「だって、パパはニューヨークで生まれたんだもの」 「ありがとうよ」とウォルトはいった。

地球が花火のように爆発する日のおじさんたちの会話を残した短編。
味わいはある。しかし、何がどうしてどうなったのか、分かりづらい。

あえて間口を狭くしているのかしら。翻訳の人の心はよくわからん。

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