『かがみの孤城』感想_1 『君の名は』メソッド

とても現代的だなぁと思いましたね。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

簡単に言えば不登校の子のみが行ける空間があって、って話なんですけど。
よく出来てはいるんですが、ただ、『君の名は』でその展開やっちゃってるってのが、ちょっと引っかかりましたね。

位置: 90
「いつもと同じって、昨日までは平気だったんでしょ? スクールは学校じゃないのよ。毎日じゃないし、来てる人数も学校より少ないし、先生もいい人そうだったでしょう。行くって、こころが言ったんでしょう。どうするの、行かないの?」
矢継ぎ早 に責められるように言われると、ああ、お母さんは行って欲しいんだとわかる。だけど違う。
行きたくないんじゃない、仮病じゃない。本当におなかが痛い。

あたくしも子どもに早口で言っちゃうとき、あるよなぁ。「どうするの?」なんて聞きながら本当は子どもに選択肢なんてない。

位置: 573
全員の顔を、順に見る。
こころ。
ジャージ姿のイケメンの男の子。
ポニーテールのしっかり者の女の子。
眼鏡をかけた、声優 声 の女の子。
ゲーム機をいじる、生意気そうな男の子。
ロンみたいなそばかすの、物静かな男の子。
小太りで気弱そうな、階段に隠れた男の子。

親切な登場人物紹介。
親切設計すぎて「読者を信用してないんかな?」とすら思える。

位置: 1,734
真田美織たちが家に来た。
されたのは、言葉にすれば、たったそれだけのことなのだと、今では、こころは絶望的に 悟る。ケンカをしに来た、とか、家までわざわざ来たけど、でもそれだけじゃないかと、そういうことを大人は言うんだろう。そして、きっと、たったそれだけの言葉で処理してしまう。

大人が信用されていない。まぁ、そうだろうけどね。
この真田に何かしらの天罰が降りるかどうか、それがあたくしのこの物語の評価点だと思って読んでいました。

位置: 2,775
闘ってるというのは、一般論なのかもしれない。今の中学生たちはみんな一生懸命に日々を生きてるし、この人はそういう仕事だから。だから、みんなに当てはまることを、単純に口にしているに過ぎないのかもしれない。
けれど、どうして、こんなにこころの心の核心をつく言葉が出てくるのだろう。自分ではそんなふうに考えたことがなかったけれど、こころは確かに、闘ってきたつもりだった。

喜多嶋先生の、明確な重要人物感。
ちょっとクサく感じました。

位置: 3,493
伊田先生は、最初から、こころのことは呼び捨てだった。
たった一ヵ月教室で過ごしただけなのに、他の、自分と仲のいい子たちにそう呼びかけるのと同じように呼ぶ。声をかけてもらうと、自分が他のクラスメートと同じような普通の子になれたような気がして、確かに嬉しくなる。だけど、嬉しくなったその後で、だから、先生はこころを嬉しい気持ちにするためにわざとそうしたんだろうな、と思ってしまう。
仕事だから。
こころのことが特別気にかかるわけではなくて、気にかけなければいけない仕事だから。

ま、人によるでしょうけどね。
あたくしはファーストネーム呼びによる距離の詰め方、好きじゃないんだよね。

なんでかな。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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