中野信子著『ヒトは「いじめ」をやめられない』 ひろゆきみたいなタイトル

それを言っちゃあお終いよ、ってな。

「いじめ」を脳科学する。

「子どものいじめ撲滅」に向けて、大人たちが尽力している一方で、大人社会でも「パワハラ」「セクハラ」などの事件が後を絶ちません。しかし、「脳科学的に見て、いじめは本来人間に備わった“機能”による行為ゆえ、なくすことはできない」と、著者である脳科学者・中野信子氏は言います。ならば、いじめに対するアプローチ法を変えて、その回避策を考えていくことが、良好な人間関係を維持するためには得策です。本書では、子どもの仲間はずれやシカト、大人のパワハラ・セクハラなど、世代を問わない「いじめ」に関して、その回避策を脳科学の観点から説いていきます。

「身も蓋もない」タイトル。「だからどうしたらいいか」についてがメインだと思うんだけど、ここだけ切り取ったら単なるひろゆきだよ。中野さんのアイデアなのかしら。

それにしても、中野さんの著書は大体、科学的根拠が示されない。このあたりは信用するに十分とは言えません。

仲がいいほどいじめが起きやすい

位置: 255
脳内物質の視点から見ると、仲間を作るオキシトシンが、同時に仲間に制裁を加える、排除するという、いじめを司る働きをするわけですが、心理学者の澤田匡人先生は、調査から、「規範意識が高い集団」ほど、いじめが起こりやすいことを指摘されています。

日本なんか規範警察沢山いますからね。いじめが起きやすいのでは、なんて思っちゃう。

日本人の不安性と勤勉さは江戸時代に作られた?

位置: 429
江戸時代の日本では、みんなと協力する人、そしてあまり目立たず、リスクに対して慎重で、裏切り者がいたら糾弾するという人のほうが、生きやすい国だったと言えるでしょう。

よく「豊臣政権が長く続いて大阪が首都のままだったら」なんて話がありますけどね。
江戸時代の封建システムが今の日本人の気質を作った、というのはどれくらい与太話の域を出ないのか。あたくしは結構懐疑的です。

いじめが増える時期は、6月と11月

位置: 669
5月から6月、 10 月から 11 月というのは、日照時間が変わる時期にあたるので、セロトニンの合成がうまくできず、分泌量も減り、その結果、不安が強まり、〝うつ状態〟を経験する人が散見される季節なのです。

うつヌケ(田中圭一著)にもそんな話があった気がしますね。

「いじめゼロ」を目指すことで産まれる矛盾

位置: 904
文科省としては、いじめや、重大事態が発生したら、速やかに報告してほしいと考えているのかもしれません。
しかし、別の言い方をすれば、いじめの認知件数がもっと上がったほうがよいと考えているのでしょうか? 下がったほうがよいと考えているのでしょうか?
いじめはないほうがよいけれども、もしあったら報告してほしいというのは、やはり矛盾したメッセージなのです。

いや、これは矛盾しないでしょ。
ただ相反するだけで、矛盾ではないと思うなぁ。

火事に例えればわかりやすいけど、消防士が火事が出たらすぐ連絡して、ってのは火事の件数増やしたいってのと同義ではないでしょ。

位置: 927
これは横浜市の待機児童の問題と同じです。「待機児童ゼロを達成」と言っても、「保育所に入れず育休をやむをえず延長した場合」や、「自宅で求職中の場合」は「待機児童」に含めず、「保留児童」として名称を変え、カウントしないだけ。実態は変わっていないにもかかわらず、目標は達成されたことになってしまうのです。

そういう小手先のテクニックは批判されるべきだけど、それはそれ。本件とはちょっと遠いかなと。

位置: 930
この問題は、先生方や学校だけが悪いわけではありません。学校に、いじめを報告する努力が報われる環境がないことが問題なのです。
教育行政の末端にある現場の教育関係者にとっては、いじめを「認知」し「報告」することは、自らのマイナスポイントを報告し、責任をとるためにするようなものですから、素直に〝上〟に報告することは難しいことだと思います。
文科省は「ガイドライン」で指導するだけでなく、それを運用する現場の人間=教育関係者にとっても、よりモチベーションが高まる仕組みを担保する必要があると思います。

これは本当にそうで、難しい問題だよね。事なかれってのは誰にでもある。あたくしも事なかれで火消しをやって、後日大ポカをやった記憶があります。

女性が女性の妬みを煽らない方法

位置: 966
できるだけ妬み感情を抱かせないようにするためには、類似性と獲得可能性を下げる工夫が有効です。

妬みって厄介だからね。対象にならないように努力するのも、護身術の一つ。
中野さんもかなりやられたご経験あるんじゃないかな。

自虐ネタの達人になる「アンダードッグ効果」

位置: 991
相手に攻められても、それほど心が痛まないような自分の傷をあえて見せてしまうのです。心理学で「アンダードッグ効果(相手に自分の腹を見せること)」と言われるものです。
最近では、東京都知事選の際に話題になった小池知事の対応が参考になります。 「厚化粧だ」という罵倒ともとれる指摘に対し、小池知事は自らご自身の顔の痣についてお話しになられました。
容姿に恵まれ、賢く、仕事ができる女性は、それだけで人から妬まれてしまうことがあります。しかし「自分の顔には痣があり、だから化粧を濃くしているのです」と、わざわざ自分の負の部分を公にしたことが、特に女性からの好感度を上げることにつながりました。

上手いね、どうも。

女性のクレーム対策は、「共感」がキーワード

位置: 1,072
女性に対しては、話を最後まで聞き、クレームの背景にある不安な気持ちに「共感」することが有効です。

これは全くそうなのかもしれない。しかし、正直面倒くさい。

学校を休むといじめは酷くなるのか

位置: 1,356
結婚後仲が悪くなる夫婦というのは、育った環境が違う他人同士だから価値観がずれていて仲が悪くなるのではなく、仲間になったはずなのに、自分の思った通りにしないのがムカつく、という感情から仲が悪くなることが多いようです。
オキシトシンが低く、お互いの関係が冷めてしまって破綻する夫婦も当然いますが、オキシトシンが高すぎて、お互いに排除する立場になってしまって破綻、ということも珍しくありません。ですから、ご主人が単身赴任するなど、一緒にいる時間があまり長くないというご夫婦だと、いつまでも仲が良かったりします。これはオキシトシンが高くなりすぎないことでうまくいっているのでしょう。「 60% のカップル」を目指すのが、良好な関係を長続きさせるコツなのかもしれません。

よく聞くよね。ただ、子どもがいるとなると話は別でしょう。そのポリシーを持ちつつ、子どもの面倒をみるということは、少なくともどちらかだけが子育てに専念する必要が出ちゃうから。

まとめ

以前読んだ中野さんの本に比べると、イマイチでした。
相変わらず情報のソースが不明です。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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