『池袋ウエストゲートパーク』感想 IWGPって……ボクシングとかじゃないの?

流行ったけど、見事になんにも乗らなかったですな。

ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、マル暴に過激ジャーナリスト、カリスマダンサー……駅西口公園、通称ウエストゲートパークを根城にする少年少女たちが、発熱する都会のストリートを軽やかに疾走する。若者たちの現在をクールに、そして鮮烈に描く大人気シリーズの第一作。青春小説の爽快感とクライムノヴェルの危険な味わいを洗練させ、新しい世代から絶大な支持を得て話題となった連続ドラマの原作。

窪塚くんが主演してめちゃ流行した記憶はあります。しかも当時は池袋が最寄りのターミナル駅だったので、めちゃ通ってた。
だからこそ、かな、別に池袋をそんなに怖がらないで、持ち上げないで、って思ってました。オレの街なんだから、って。何がオレの街なのかわからんけど。

職場の女性が大ファンだそうで、とりあえず読んでみようかなと思い、読了。あっという間に読めた。言うほどミステリか?
とにかく自己愛というか、ポエティックな要素がつよく、暴力との相性があまりに悪く思えました。これが本当に流行ったんか。わからんもんや。

ちなみにIWGPはプロレスのタイトルだそうです。
ボクシングもプロレスも、窪塚も知らんがな。

位置: 3,060
だ。愛してる人が死んで、愛してくれる人が死んで、自分の死を待ってるだけのときに、おれはここにいる仲間と出会った。やつらはおれのために死ぬだろう。おれもやつらのために死ぬだろう。ためらう理由はない。どうせいつか死ぬんだ。それに死んでしまえば、もうこれ以上誰かが死んでいくのを見なくてすむ」  春の嵐が揺らす木の葉のざわめきの他に音はなかった。京一は薄い笑いを口元にはりつけたまま話し続けた。あたりを取り囲むエンジェルたちの視線が、鉄さえ蒸発させそうなくらい熱くなっているのがわかる。絶対のカリスマ。こいつらに手を出すなら警察だって本気でなきゃあぶない。

一人称の小説は、どこかナルシシズムになる。主観で動くから、そうなるっちゃそうなるのか。どうも詩人すぎて読んでいて恥ずかしくなる。

位置: 3,179
シャワーはいいのと聞くと、加奈は浴びてはダメという。汗とほこりとその人の匂いが大事。お刺身を水で洗って食べる人なんかいないでしょ。

エロいなぁ、加奈ちゃん。例えも良い。魅力的な女性。

位置: 3,250
二度目のセックスのあとで、おれたちは手をつないで眠った。バカみたいだろ。だけど、その夜のことを思いだすたびに、おれは今でもひとりで泣いたり笑ったり、部屋を飛びだしてあてもなく街をうろつきまわったりする。  誰かと本当につながっていると感じた初めての夜。恋が始まるのはそんなときだ。  世界はどこもかしこも花ひらいている。  だって、おれ自身がその花のひとつなんだ。

黄色のハイライト | 位置: 3,328
感染しやすい憎しみと酩酊しやすい暴力。ビジネスとして見れば加奈には悪くない話。

池袋の果物屋の倅が、こんなに詩的に物事を捉えていたら怖いわ。というか読んでいて恥ずかしいわ。

ナルシシズムって、こっちが恥ずかしくなる。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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