『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』感想 子どもにお金を教えるには……

あたくし自信、お金についてはまるで苦手。

「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」
中学2年生になった「僕」は突然、奇妙なクラブに放り込まれた——。
現役経済記者が娘に贈った、笑いと涙の経済青春小説!

中学2年生の「僕」は、バスケが好きな平凡な男の子。
そんな「僕」が突然放り込まれたのは、謎の大男が顧問を務めるヘンテコなクラブ。
しかも、メンバーは大富豪の美少女との二人きり。
変な顧問は「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」とかなんとか妙なことを言いはじめて……。

あたくし自信、お金についてはあまり教育されず、そして今も苦手です。でも、大人になって思うのは、お金の問題で人生は結構悩まなきゃならないってこと。もうちょっと教えてもらえないもんだったろうか、もう少し早く知っておきたかった、などと思ったりします。

そこで本著。わかりやすくお金のことがまとめられているということで、kindleで話題だったのでつい購入。なかなかおもしろかったですよ。

あたくしのようなお金リテラシー低めの方には面白いんじゃないかな。ある程度納得できることも書いてあって。

位置: 398
「でも、ワタクシはただただうらやましかった。逆立ちしてもかなわない天才なのです。おまけに超がつくハードワーカーで、ときには徹夜で研究に没頭する。それを見て、ワタクシは物理学を諦めました」 「いや、別にその人に勝たなくたって、研究者にはなれますよね」 「彼ほどの才能がないことより、彼より物理学を愛せない自分に気づいたのがショックでした。彼のように、何が何でもこれをやりたい、やらずにいられない、というほどの衝動がわいてこない。これは天職じゃない、と思い知らされた」

これはあるあるですね。あたくしも、自分よりはがき書ける人を目の当たりにしたときに大切なものを失ったと感じた記憶があります。

位置: 742
「英語にデビルズ・アドボケイトという言葉があります。直訳すると 悪魔の代弁者。討論や会議で使うテクニックです。本人の主義主張とは関係なく、誰かが徹底的に反対派を演じる。それに反論する過程で議論を深める仕掛けです」

散見されるリテラシーの高い言葉の数々。おじさん、ちょっと苦手ではあるのですよね。

位置: 798
「裏稼業は社会を理想から遠ざける存在であり続ける。部分的にみれば有害です。しかし、表と裏、両面がなければ人の世は成り立たない。我々は、その負の部分をも引き受けなければならない。玄人はもちろんのこと、素人もです」

位置: 1,223
ビャッコさんが「インチキできないように生活保護をもらう人を厳しく選んだらどうですか」と言った。 「それも一法でしょうが、ワタクシは反対です。福祉を受ける人は社会的弱者です。本当に困っている人とインチキする気満々のズルい人、要領がいいのは後者です。入り口を厳しくすると、ズルい人はルールをかいくぐって、弱者がはじかれる恐れが高まります」 「じゃ、どうしたらいいのかな」 「入り口ではなく、ひとまず受け入れてから目を光らせる、というのがワタクシの案です。暴力団絡みや、受給目的の集団渡航などの組織的な不正受給の取り締まりを徹底して、厳罰化する。個人レベルの少々の不正受給は放っておく。そもそも、それはたいした人数じゃないのです。そういうナマケモノは置き去りにして、企業や人々の『かせぐ』をあと押しして、富の増大に力を注ぐ」  置き去りにして、か。それはそれで、かっこいいな。

示唆に富む内容ですね。清濁併せ呑む、大事の前の小事ってことかな。

位置: 1,634
ず、あるとき世の中全体が高利貸し許すまじ、となった。その結果、法律が変わってサラ金の金利は一気に半分に下がった。同時に国はとんでもないことをやった。過去の過払い金を取り戻す訴訟の容認です」
「カバライって何ですか」
「払いすぎ、の過払いです。新しい上限金利は 15%だ、昔の 30%との差額分の利子を払い戻せという裁判です。サッチョウさん、取りすぎた分を返すのは当たり前では、なんて顔してますね」
「だって、 30%って、ちょっと無理というか、ひどくないですか」
「しかし長年、国はそれを黙認してきたわけです。法律の範囲内で自由に行動できるのが法治国家です。ルールを変えるのはいい。でも、新しいルールを過去に適用すべきではない。

いや、今ラジオでめちゃくちゃCMやってる「過払い金請求」のやつって、これなんすね。こんなことになってんですな。すごい世の中。サラ金は許すまじだけど、過去までさかのぼっちゃ、ね。法治国家じゃないね。

位置: 2,150
サッチョウさんの中で実を結びつつあるようですね。今の感覚を忘れないでください。知識と情報の裏付けのある直感は恐ろしく正確です。7割から9割は正解を導き出すとも言われます。準備不足の直感はただの思いつきですけどね」

いいこというなぁ。知識と情報の裏付けのある直感は8割当たる、ってね。

位置: 2,204
何だこれは。rはgより大きいって意味だろうけど、さっぱりわからない。
「これはピケティという経済学者が示した不等式です。彼の衝撃的な仮説は世界中で大論争を起こしました。その核心がこの式です。rは資本収益率、株式や不動産への投資のリターンを示します。gはグロースの頭文字で経済成長率です。ピケティはいろんな国のデータを調べて、長い目でみると、経済全体の成長より投資でもうかるペースのほうが早いと主張しました」
今度の間は長い。正直、助かる。僕の頭は微妙についていけていない。
「これが何を意味するかわかりますか」
「……投資ができるほどのお金持ちは、どんどん、もっとお金持ちになる」
「エクセレント! ビャッコさん、完璧です」

貧富の差、ってやつか。これを均すのが政府の大きな仕事なんだとあたくしは思っています。持たない側は大変だ。持つ側になんとかしてなりたいね。

位置: 2,806
ショックを引きずる僕がノロノロと反対のドアを開けようとしたとき、肩に手が乗り、カイシュウ先生がかがむようにして耳元でささやいた。 「敵は大物です。焦ってはいけません。でも、のんびりしてもいられない。サッチョウさんも、自分の道をみつけて、まっしぐらに全力 疾走 するしかありません。追いかけちゃいけない。自分の道を行くのです。遠回りにみえて、それが一番の近道です」

そーなんだよね、モテるためには女の子を口説き続けるのではなく、自分の道を全力疾走すること。それが近道なんです。

あたくしはそれが分からなくて苦労したんだ。ほんと、苦労したよ。

お金について楽しく読めました。いつか娘たちにも読ませたいな。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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