岸見一郎著『幸福の哲学 アドラー×古代ギリシアの智恵』感想 話がとっちらかってない?

表現力が教養においついていない印象。

幸福であることを願わない人はいないはずなのに、なぜ、ほとんどの人は幸福感を得ることができないのか? アドラー心理学と専門のギリシア哲学の知見を基に深く、深く考え抜いた上での著者の最終回答がここに。幸福になるための鍵は、ちょっとした気づき、視点の転換にある。人間が幸福になるための有益なヒントが満載。「本書を読めば、幸福はどこか遠くに探しに行かなくても、初めからここにあったことがわかるでしょう」。

アドラー心理学の第一人者的なお方。アドラー心理学には興味があって(というか「課題の分離」に興味があって)、一度読みたいと思っていたところにKindleで安くなっているのを発見したため、迷わず購入。

正直、いまいちでした。ギリシャのパートが言葉足らずで、全然入って来なかった。

位置: 195
人生の意味は何かという問いは、まさしく哲学が扱うテーマである。  しばしば、おそらくはよく考えもせずに、哲学は抽象的だといわれることがある。実際には、哲学は具体的に考える。木の枝に五羽の 雀 が止まっているとして、そのうちの一羽を鉄砲で撃ち落としたら後に雀は何羽残るかという問いに対して、算数や数学であれば四羽が正解となるが、実際には、鉄砲の音に驚いて雀は一羽も残らない。算数では数だけを問題にし、音に驚くというような事情は考慮に入れない。抽象というのは、ものの一面を取り出して他の面を切り捨てることである。算数はその意味で抽象的である。このような抽象性は、数学だけにとどまらず、経済学や政治学にも認められる。それゆえ、それらの学問が実際には実務においてはまったく役に立たないことはよくある。  小学生だった時、死について考え始めたのが私が哲学に関心を持ったきっかけだった。だが、私が知りたかったのは、一般的な死ではなく、他ならぬ「この私」が死ぬとはどういうことかということだった。 「私」を問題にしない一般的な、あるいは普遍的な考察は科学になる。そのような考察によって導き出された結論は、たしかに普遍的なものではあるけれど、 この 自分には当てはまらない、そんな思いを 拭えない。

なるほど。一般化されたものは科学であり、私的なものが哲学なのか。そうかもしれない。哲学というのは多分に実際的なのかも。じゃあやっぱり、哲学に哲人の教えは有用かもしれないが必須ではないような気がする。

位置: 2,173
子どもが学校に行かないことで悩む人は多い。だが、学校に再び行く日がいつくるかはわからないとしても、今日という日を子どもと仲良く生きることのほうが先決である。

間違いない。

位置: 2,178
明日がくることは決して自明ではなく、明日は今日の延長ではないと見ることは、病気の時だけでなく、日常の生活でも必要である。  にもかかわらず、明日という日がくることを疑わず、これからの人生が見通せると思い込んでいる人は多い。私は若い人が人生設計をしていることに驚く。そのような人は、人生の先まで見えているのだろうか。これは一つには、明日の自明性を少しも疑わないからだが、なぜ先まで見えるかといえば、今のこの人生にうすぼんやりとした光しか当てていないからである。もしも、強い光をスポットライトのように「今、ここ」に当てれば、先は少しも見えなくなる。

明日は来ないかもしれない、と思いながら生きるのは辛いよ。先を見ない人生のリスクについて、著者はもう少し敏感でも良い。

位置: 2,282
幸福は幸運とは違うということ、人は何かの出来事によって幸福になるのでも、不幸になるのでもないということ。すでに人は今ここで幸福である。このことは、ちょうど人の価値が生産性にではなく、生きていることにあり、今のままの自分以外の何者かにならなくてもいいということに呼応している。

今話題の生産性の話。生きている即ち幸運である。確かにそう在れればいい。ただ人間は比較する生き物だからね。嫉妬。これが一番厳しい。

位置: 2,341
この時から私は、何かをすること、できること、すなわち生産性では自分の価値を見なくなった。一時期、常勤の仕事にも就いていた頃には仕事で成功したいという野心を持っていたが、過労で体調を崩したために退職し、のちに心筋梗塞で倒れて以来、私の野心は 潰えた。  今でも、時折、「こう見えても仕事はしている」といっている自分に気づいて苦笑することもあるが、何かを達成できなくても、今の自分はこのままでいいと思えるようになってからは、背負っていた荷を下ろして気持ちが楽になった。

位置: 2,350
中でも自分がずっと幸福に〈なる〉という言い方をしていたことに気づいた時には本当に驚いた。幸福になる、あるいは、なれるというのは、目下、幸福ではないということである。成功や名誉、富などは幸福の条件ではなく、幸福であるためには必要ではない。

楽に生きるために、色々荷物を下ろす。これ大切なことね。そして、生きているから幸福であるということ。これが非常に大切。

抜粋すると良いこと言っている印象を受けるし、実際、良いこと書いてあるんだけど、読むと読みづらい。話がとっ散らかっちゃってて。

ギリシャの偉人の言葉は要らない。話を前後させない。要旨を端的にまとめる。そうすればもっと読みやすいのにな。良いこと言ってるだけに、ちょっと残念。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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