『ペンギン・ハイウェイ』は森見登美彦版『海辺のカフカ』か

なんとなくそう思いました。結局何が起こったのか、最後まで謎なところとか。

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二つのグラフは同じようなペースで波を描いていた。〈海〉が拡大期になると、お姉さんは元気になる。〈海〉が縮小期に入ると、お姉さんは元気でなくなるのだ。

結局、この現象が何なのか、読者には最後まで分かりません。たぶん分かる必要もないということなんでしょう。あたくしにはモヤッとするだけですね。

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つまりお姉さんがペンギン以外のものを作ると、それはジャバウォックになり、ペンギンたちを食べてしまう。〈海〉は大きくなり、お姉さんは元気になる。だからお姉さんは苦しさから逃れるために、ジャバウォックたちを作った。そのかわり、ぼくらの世界のこわれた部分は大きくなっていく。ちょうど今みたいに」

うーん、「で?」という感じなんですよね。どうにも腑に落ちない。
この感じ、ずっとコンプレックスなんですよね。何故これが面白いのか?わからないというストレス。「仕方ないじゃん」とは半分までは思えているのですが。

あと半分。

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「それだけえらくなったら、私の謎も解けるだろうな。そうしたら私を見つけて、会いにおいでよ」 「ぼくは会いに行きます」

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なぜここにいるぼくだけが、ここにいるお姉さんだけを特別な人に思うのだろう。なぜお姉さんの顔や、頰杖のつき方や、光る髪や、ため息を何度も見てしまうのだろう。ぼくは、太古の海で生命が生まれて、気の遠くなるような時間をかけて人類が現れ、そしてぼくが生まれたことを知っている。ぼくが男であるから、ぼくの細胞の中の遺伝子がお姉さんを好きにならせるということも知っている。でもぼくは仮説を立てたいのでもないし、理論を作りたいのでもない。ぼくが知りたいのはそういうことではなかった。そういうことではなかったということだけが、ぼくに本当にわかっている唯一のことなのだ。 「それじゃあ、そろそろサヨナラね」  お姉さんはぼくから離れて立ち上がり、歩きだした。

切ない。お姉さんは一体、なんだったのか。おっぱいとは。
……こういう憧れさせてくれるおねーさん、欲しかったなぁ。

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ぼくはコーヒーを飲んだ。ぼくは砂糖を入れなかったので、コーヒーはたいへん苦かった。そしてあまりおいしくはなかったのだけれども、ぼくの体はあたたかくなった。お腹の底にコーヒーが入っていくたびに、ぼくは元気になるようでもあるし、いっそうかなしくなるようでもある。 「父さん、ぼくはお姉さんがたいへん好きだったんだね」とぼくは言った。 「知っていたとも」と父は言った。

いいですねぇ。本当に。羨ましい。

「そんなおねーさんがほしい」この一言に尽きるね。

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