『桜の樹の下には』は梶井基次郎の作

よく言われる「死体が埋まっている」というのは彼の作品から、らしいですね。膾炙しすぎてすっかり本家を忘れていました。

大正から昭和期の作家、梶井基次郎の短編小説。初出は「詩と詩論 第二冊」[1928(昭和3)年]。「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」。桜の花の美しさは、人間も含めた動物の死によってなりたっているのだと“俺”は考える。死によってこそ、美しさが信じられる。死に考えを巡らせることに喜びを感じる。梶井の悪鬼の憂鬱は、美しさの底を暴いてみせる。暴かれた桜は一段と美しく咲くしかあるまい。

作品説明を読んでも何のことかわからん。ま、短編ですからね。
すぐ読めちゃう。

位置: 38
俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る。俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心は 和んでくる。
――おまえは 腋の下を 拭いているね。冷汗が出るのか。それは俺も同じことだ。何もそれを不愉快がることはない。べたべたとまるで精液のようだと思ってごらん。それで俺達の憂鬱は完成するのだ。  ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!

早い話、「死体が埋まっている」という設定をつくらないと桜の美しさは補完できないし納得できない、っつーことでしょうか。

病的ね。

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