『自分ごとの政治学』感想 平易だが思考を整理するのに丁度いい_3

位置: 676
しかし、ガンディーがおこなったのは、特定の宗教の枠組みを超えた「メタ宗教」を政治に取り込むことでした。そうした政治と宗教が接続する構造の重要性については、もう一度考えてみる必要があるように思います。

人間は違う宗教の人には結構冷たくなる傾向がありますからね。
メタ宗教って難しいよね。なんだかんだ、国って宗教と結びついてるもんね。根底にあるんだろうな。

位置: 711
つまり、過半数がイエスといった法律やものごとが通っていくシステムが民主、過半数がイエスといっても駄目なことがあるというのが立憲です。この地点において、民主と立憲とは衝突することになります。

立憲民主党って、そう考えるとすごい名前だわな。
立憲の考え方は韓非子にも繋がる気がして好きなんだな。

位置: 746
憲法というのは、死者たちが積み重ねた失敗の末に、経験知によって構成した「こういうことはやってはいけない」というルールです。過去の人々が未来に対して「いくら過半数がいいといっても、やってはいけないことがあるよ」と信託している。これが立憲の考え方なのです。
対して民主主義は、生きている人たちの過半数によって物事を決めるわけですから、主語は当然「生きている人」になります。この主語の違いが、立憲と民主を考える上での重要なポイントになります。

死者の上に成り立っている、という考え方、好きですねぇ。
死してなお役に立てる、というのは何だか励ましになる。

位置: 766
しかし、2015年10月に野党が臨時国会の開催を要求したとき、総議員の四分の一以上の連名による要求であったにもかかわらず、当時の安倍政権は応じませんでした。強行採決で成立したばかりだった安保法制についてこれ以上議論したくなかったのでしょう。「要求があってから何日以内に開催しろとは憲法に書かれていない、いつでもいいんだ」という理屈を強引に持ち出して拒否したのです。結局は、開催される前に次の通常国会の開会日になり、臨時国会は開かれないままでした。
このように、「自分たちは民意によって選ばれている」ということを 楯 に、これまで長い年月をかけて積み重ねられてきた経験知、慣習や伝統を平気で無視する政治家が出てきた。それによって憲法の安定性が損なわれているのが、現代という時代だといえます。

安倍政権は保守ではないのだ。改憲派だしね。
自民党は保守ではないのだ。強いて言えば、パターナル、父権的なのだ。

位置: 774
私はよく、憲法の好きな条文を聞かれると「九七条」と答えます。九七条には、次のように書かれています。
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去 幾多 の試錬に 堪へ、現在 及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

あたくしもこれからはそう答えよう……ってそんな機会ないか。
将来の国民に対し、って発想がステキ。

位置: 787
逆にいえば、死者からの信託を忘れた時代、死者の存在を自分たちの共同体の外に置いてきた私たちの社会は、民主主義が暴走しやすい状況になっているのではないかというのが、私の考えです。
死者の存在を無視して、生きている人間だけで物事を決定しようとする。それは、生者の 驕りに過ぎません。民主主義は常に、死者によって制約された民主主義、立憲民主主義でなければならないのです。

生者の驕り、ってそんなふうに考えたことない。けど、かっこいいフレーズだな。
確かに死者の存在を外に置きがちな自負はあります。

位置: 811
ベッドに入ってからふと、この三時間は何だったんだろう、と考えました。そのときに「ああ、そうか」と思ったのです。私は亡くなった友人と出会い直したのだ。彼はいなくなったと思っていたけれど、そうではない。彼がいなかったら、書き直した原稿は生まれなかっただろう。彼はもう、生きてはいないけれど、死者として確かに存在していて、私と対話を続けているんだ──。なぜこんな当たり前のことに気づかなかったのだろう、と思って、深い 安堵 感 を覚えました。そして、この「出会い直し」を大切にすることこそが、私がこれから「よく生きる」ということなのではないか、と感じたのです。

よくいう「墓参り」の効果ってやつですね。
神社も仏閣もそれほど興味がないあたくしですが、墓は必要だと思っています。

それは死者との対話が大切だと思っているからですね。
平易でいい本でした。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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