『本当は危ない国産食品―「食」が「病」を引き起こす―』感想 果たして……

これはなかなかの衝撃作です。奥野修司さん。

「国産食品だから安心、安全」というのは噓(ウソ)である。実は日本では一部の農薬の規制が世界的に見ても緩(ゆる)い。それらが残留した日本茶、野菜、果物、コメ、パン、パスタなどを私たちは日常、口にしているのだ。研究者たちが指摘するのは、肥満、アレルギーのみならず、脳の萎縮(いしゅく)、自律神経の失調、神経伝達の異常、発達障害など、数々の重大なリスクである。最新の科学データと緻密(ちみつ)な取材をもとに、大宅賞作家が警鐘を鳴らす問題作。

普段口にしている物の危険性を訴えた一冊。すべて本当なのだとしたら、もはや食えるものなどない。水だってダメだってんだからね。

強い言葉で煽るのを嫌うあたくしですが、かといって、無視するわけにもいきません。どうしましょう。

位置: 13
知人の大学教授に内分泌攪乱物質(ホルモン作用を攪乱する物質で環境ホルモンともいう)について話を聞いていたのだが、たまたま終わったのがお昼すぎだということもあって、教授と二人で研究所の裏手にある大衆食堂に向かった。

そもそも疑問としてあるのは、この手の話を書く人が大衆食堂に行くかね……?何使ってんのか分からんぜ?

位置: 66
日本は自閉症やADHDなどの発達障害児が世界でもトップレベルと言われるほど多い国だ。空気がきれいになったのに 喘息 が増えているし、アレルギー 疾患 も自己免疫疾患も急増している。なぜこんなに増えたのだろう。私には、食べ物が原因のように思えて仕方がない。

人間は都合の悪い者同士をくっつけて問題を簡単にしたがる傾向があるから、あまり単純にそこを結びつけるのはどうかとは思いますけどね。しかし食は大切。

位置: 144
「残念なことに、日本のお茶からは100%、ネオニコチノイド系農薬が出ました。この農薬は水に溶けやすいので、お湯で抽出されたんですね。これは事実として受け止めなくてはならないと思う。

このネオニコチノイドというのが本著のテーマです。
本当だとしたらもうお茶飲めないじゃん。

位置: 182
実は 表1 に示したこの数値、EUやカナダ、台湾、韓国などに輸出すれば検疫ではねられるほど高いのだ。それがなぜ日本のスーパーでは売られているのかと言えば、EUなどにくらべ、日本の残留基準値の設定が信じられないほどゆるいからだ。

さらにこれが本著の要約でもあります。
国産なら安全、というのは違うと。

もちろん農薬は基準値内ではあるけど、それはあくまで基準値。
なるべく身体に入れたくない、というのはそのとおりだよな。

位置: 393
ADIを決めるのは無毒性量という数値です。これは、ラットなど動物に投与して、全く毒性が見られませんでしたよという量ですね。この数値に安全係数として100分の1をかけたものがADIです。では、100分の1をかければ大丈夫かというと、だいたいは大丈夫なんですが、動物の種の差やヒトの個体差は一概に測り切れないもので、判断が難しいんです」
100分の1にはたいして根拠がなく、動物で実験した数値だから、二桁も低くすれば人間も大丈夫だろう、という程度の係数だと言われる。

まぁ、100分の1なら大丈夫だろう、という気持ちはわからないでもないけどね。
でも慎重にやってほしいわな。

位置: 421
コーデックス委員会とは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)によって設立された国際的な食品規格を決める組織だが、基本的にアメリカのような輸出国の基準が反映されやすくなっていて、一般的にコーデックス基準といえば残留基準値が高いという印象がある。それよりさらに高いということは、相当に高いと言えるだろう。

『美味しんぼ』なんかでさんざんコスられた、アメリカの輸出事情ですね。

黄色のハイライト | 位置: 1,240
ラウンドアップの危険性が広く認知されていくに従い、EUや北欧、ロシア、スリランカ、タイ等々、グリホサートを輸入禁止にしたり、あるいは使用規制を強めたりする国が相次いだが、なぜか日本は大幅に緩和している。
例えば2017年のクリスマスの日、ひそかに農産物のグリホサート残留基準値を大幅に引き上げた。

この農水省あたりの動きについては不可解な部分が多く、ちょっと別の文献もあたってみる必要を感じますね。

位置: 1,261
ラウンドアップもネオニコと同じで、雨が降ると河川に流れ、やがて水道水に流入する。ところが、日本では水道水に残留するグリホサートの基準値がなく、目標値だけである。その数値も2ppm(㎎/L)と、他の農薬に比べてダントツに高い。

うーん、本当だとしたら打つ手なし。水道水にも入ってちゃもうお手上げじゃないの。
この国を出るしかないか。

位置: 1,279
家庭菜園などの雑草駆除に、何の疑いもなく使っているのである。
それにしても、世界の流れに反して、なぜ農薬の残留基準値を上げるのだろう。
東京大学大学院(農学生命科学研究科)の鈴木宣弘教授は「日本はアメリカの要求を全て受け入れることになっている」からだと言う。
「残留基準値が、突然6倍とか150倍になるはずがなく、食品安全委員会が審査しているとは思えません。これは初めから結論ありきで、アメリカからの要請に応えているんですね。アメリカから農薬や添加物に関する要求はいっぱいあります。その要求のうち、今年はどれを差し出すか、その順番を決めるのが日本の外交戦略なのです。

売国だ、と言われたって仕方がないですね、本当だとしたらね。
そのへんの事情について、もうちょっと知らないと何とも言えない。

しかし、これは何だか旗色が悪いですね。

位置: 1,356
そこで、加工食品に含まれるグリホサートを精力的に分析している農民連食品分析センターの八田純人所長にうかがった。

位置: 1,362
これは、収穫前にグリホサートを撒布するプレハーベストが広がったからです。
本来、小麦は畑に放って置いて乾燥するのを待って収穫します。これは大豆も同じです。ところが、均一に熟して乾燥してくれれば良いのですが、熟すのが遅いのを待っていると、先に熟した方が脱粒して収量が落ちます。そこで農家は、収量を上げるために、ラウンドアップを撒いて枯れるのをコントロールするのです。

収穫量を挙げるために、除草剤を撒くわけだ。そんなの知らないよねぇ。

位置: 1,370
そこで八田氏は、2019年に近所のスーパーで誰でも買える食パンを購入し、グリホサートの残留値を調べてみたと言う。 「これらのパンの小麦には、原産国名の表示は基本的にありませんでした。その都度、様々な産地の小麦をブレンドしているので表示できないのでしょうが、検査から、国内産小麦を謳っている製品以外は海外産の小麦を使用していることが分かります。なかには『国内製造』という紛らわしい表示があって、国産小麦使用と誤解する方もいますが、これは(国内で加工しただけで)海外産の小麦なので要注意です。」

そういう表示がある、ってのは聞いたことありますね。
小麦に関して言えば国産なら大丈夫とのこと。

位置: 1,380
「敷島製パンには『Pasco超熟 国産小麦』という製品があります。Pascoの普通の食パンより一〇〇円ほど高いのですが、普通のスーパーでも手に入ります。この商品からはグリホサートが検出されません。Pascoは食パンだけでなく、国産小麦を使用したロールパンなども多数製造しています」

パスコ買おう。パスコ。

「農薬工業会」の批判に反論する

位置: 1,611
本書の原稿を「週刊新潮」に連載していた時、「農薬工業会」から「見解」として批判を受けた。

新潮に連載してたのね。週刊誌読み比べみたいなコラムでこの趣旨が話されているのを聞いた気がしますが、このことだったかしら。

位置: 1,626
本書で根拠とした論文は、厳しい査読を受けて学術誌に掲載されたものばかりである。食品安全委員会が農薬の評価に学術論文を使わないのは、国民の安心安全を 慮るという視点が抜けているからで、安全であるという証拠があるなら、すべて学術誌に載せて同じ土俵で議論すべきだろう。

確かにこの本の論文は裏を取ることができました。素人レベルではありますが。その辺の陰謀論とは違うと思いますね。

反論も至極まっとうに思います。

位置: 1,846
もちろん有機食材に替えることだが、しかし、手に入りにくいし、値段も高くなって家計に占める食費の割合が高くなる。これを解決する手段として、私は第八章で羽生のり子さんが紹介してくれたアマップ(AMAP)がヒントになると思っている。消費者が前払いすることで、生産者は農業生産に投資しやすくなり、消費者は生産者と直に取引することで、有機農作物を安く手に入れることができる。その代わり、私たちはこれまで刷り込まれた農作物に対する価値観を変えなくてはならないだろう。

さんざん読ませておいて、最後が弱いのが残念。
じゃあどうする?ってときに、答えがこれだと、読んだ人はただ怖がるだけになっちゃうよ。かといって、強く怪しいことは言えないしね。難しいだろうけどねぇ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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