プチ鹿島著『教養としてのプロレス』感想

 ファンです、鹿島さん

数年前、東京ポッド許可局というポッドキャストに出会ってから大好きなプチ鹿島さんの著。
これは簡単にいえば、人生をプロレスから考える演繹法的解釈の本です。

  • WBCは怪しい興行だが、そこに産まれるドラマは至高のものだった
  • 力道山のプロレスはグレーゾーンの多いものだったが、米国人をなぎ倒す力道山に日本中がシビレた

という二つの証拠(?)を持ち出し、

  • WBCとは力道山時代のプロレスである

と結論づけます。
はっきり言ってこの論文のような新書、そのものが既に怪しくて面白いんですが、そういう本。

ひいては鹿島さんという存在が、怪しくて面白いんですけれどもね。

読んでいて心地良い分析

「この人の言うとおりだな!」という本ばかりが良い本ではありませんよね。
鹿島さんの本は、あたくしにとって、
「正しいかどうかは怪しいけど、この人の言うことは楽しいな」
です。

例えば、

WBC初お目見えの第1回大会は、奥ゆかしさと毅然さを体現する世界の王監督が、「誤審」「非礼」など信じられない理不尽な仕打ちに耐えに耐え、最後に反撃に出るという展開

なるほど、ミスジャッジとか韓国の国旗をマウンドに刺されたりとか、しましたねぇ。

メジャーという「大都会」で成功して、ますます近寄りがたいと思っていたイチローが「帰省」して「オラがクニ」を盛り上げた。久しく侘びしかった田舎に盆と正月がやってきたのだ。情緒溢れるニッポン人がWBCにハマらないわけがない。

イチローが日の丸背負ってくれるとは思わなかったなぁ。

たぶん、力道山がはじめてプロレス興行を見せた時も,これに近い感じだったのではないだろうか

そうかも!

面白いんです。正しいかどうかは問題ではないし、むしろそこを半信半疑でいることが楽しむ秘訣なんだそうですよ。
鹿島さんいわく。

「いいですよ!」

関係ないけど、ラジオで鹿島さんがよく入れる合いの手が好きです。

「いいですよ」
「待ってました」
「いいコンディションだよね」

ドヤァ台詞ってのが鹿島さんの売りですよね。