『昭和元禄落語心中』8巻 勢いの無い寂しい巻

八雲(やくも)が口にした「引退」の二文字。いつか来るその日を覚悟して、樋口(ひぐち)の案内で与太郎(よたろう)こと三代目助六(すけろく)が向かった先は、四国の温泉旅館・亀屋。因縁の地で甦った先代助六の「芝浜」があぶりだす、八雲の落語の深淵とは――? ある者は寄席を守り、ある者は再び高座を目指す。昭和落語の最後の灯が行く末を照らすその日まで――。

好きな『落語心中』ですが、この巻の間は特に素晴らしいですね。

この巻はおそらく、クライマックスへのヒザがわり、寄席で言う太神楽曲芸でしょうか。

先代・助六の『芝浜』や、ちょっとした『野ざらし』のシーンはありますが、他には特に盛り場はなし。
ただ淡々と、弱っていく八雲師匠をみる巻。せつねぇっす。

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弱っていく名人を看取るというのも、落語ファンの辛いところ。
なにせ、棺桶が相当近くなっても現役な職業ですからね。

9巻のものすごい爆発を、ふつふつと予感させる、いい巻でしたね。

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