『野ブタ。をプロデュース』感想 ニンにあったポジションがあるって話ね。

ドラマは未視聴。

人間関係を華麗にさばき、みんなの憧れのマリ子を彼女にする桐谷修二は、クラスの人気者。ある日、イジメられっ子の転校生・小谷信太が、修二に弟子入りを志願するが…はたして修二のプロデュースで、信太=野ブタは人気者になれるのか?!TVドラマ化もされた青春小説の決定版・第41回文藝賞受賞作。

なんかドラマが流行ってるってのは知ってましたが、文藝賞も取ってるんですね。作者は同い年。へー。

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デビューイベントの大成功は今までにない満足感を俺に与えてくれた。自分の構想通りに世の中が動くことの素晴らしさ。自分一人ならいくらでも他人をコントロールできるが、野ブタというハンデを背負い、野ブタという他人を使ってコントロールしていくということが成功したとき、俺の着ぐるみショーは世界も認める本物、ブロードウェーで 演 れる日も近いんじゃないかしらの領域まできたと思え、俺は気分を良くした。

要はいじめられっ子を陽キャに変身させるプロジェクト。なんだけど、動機は軽いんだよなー。ま、自分は明らかに野ブタ側の人間なので、あれですけど。

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嫌悪感先行の蔑みの笑いと、バカにしても根元に愛のある笑いの違いは大きい。わかりやすく言えば「あいつキモイよな」と「おまえキモイよな」では全然意味が違うということだ。面と向かってバカにできるということは、ある程度の愛がなければできない行為であり、相手を本気で傷つけようという気持ちは含まれていない。

それはありますね。
いじりといじめの違いですね。まぁ、いじりってのも難しい芸ですけどね。あれ、誰もが同じように接していいわけじゃないからね。免許制だから、いじりって。

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濡れた靴がキュッキュッと廊下を鳴らして、さっき上がった階段から、遅刻してきたと思われる俺と同じ学ランを着た、顔の濃い男子生徒が現れた。

最後、なるほど、逃げて終わるか。
それもまた良し。

まとめ

全体的に軽佻浮薄で、その軽佻浮薄さが仮面の方ならいいんだけど、本質もそれほど変わらないんじゃ……?という気持ちになりました。仮面を被って社会を渡っていく、その姿はとても喜劇的で良いんですが、その素顔がね、問題なわけで。

しかし信太の振る舞いは見事。確かに、いじられキャラとして確率させていくためにはそれしかない。説得力もあった。信太の苦悩は、とても伺える。誰だって出来れば修二になりたい。しかし、自分のニンにあったポジションが、人には必ずある。

まぁ、あたくしのような根っから陰キャには分からない苦悩ではあります。自分はある程度の仮面を持って産まれたので、それほど中高にいじめられることもなかった。
ちなみに、筆者はどっち側の人間なんですかね。陰キャのような気がしますが。

ドラマは修二側が二人になる、信太が堀北真希になる、というなんともいえない改変を行っているらしいね。うーん、そりゃ、見ないな。
しかし、修二失墜の場面、あれ、それ以外どう動けってんだ?

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